第1216話 AtoZ
「お、お前がナップだったのか?」
「うんそうだよ、君もさっきナップがいるって感じてなかった?」
確かに、世界が崩壊した後最初にナップの気配を感じた。あれは、こいつ自身がナップだったからなのか。くそ、気づかなかったぜ。
「じゃあ、最初からずっと俺を隣で監視してたのか?」
「隣? いやいや違うよ? 僕は君がこの世界に来た瞬間からずっと君を見てたんだ。そりゃ、自分が作ったジオラマに誰かが入ってきたら、イヤでも目につくでしょ? そんな感じだよ」
「ジオ、ラマ?」
ってなんだっけ? あ、ジ・オラマかな? ちょうど母音だからザがジになってるし。
「あれ、気づいてなかった? この世界は僕が一から作り上げた世界だよ? 他の神様は最初の設定だけして、後は時間の流れに任せるタイプだけど、僕は違う、一から十まで僕自身の手で作り上げたんだ。だからそんな場所に誰かが来たらイヤでも目に付くし、何をしてるか気になるでしょう? 僕の庭なんだから」
あ、ジオラマってあのジオラマか。って、は? この世界を一から作った?
「ま、マジで?」
「はい、僕の好きなサイバーパンクをベースに魔導でアレンジしたんだ。中々良い出来だと思ってるんだけど、どうかな? 楽しめたかな?」
「は、はい」
ん、ちょっと待て。そんなに丹精込めて作った世界に思い入れがない訳ないよな? それを俺は、え? ぶっ飛ばしてしまったんだよな? ……もしかしなくてもコレ不味い? さっきから妙にフレンドリーな気がするし、嵐の前の静けさというか、コイツはもしかして笑顔でブチギレするタイプなのだろうか。
「え、もしかして怒ってる?」
「ん、僕が? 怒る理由なんてあったっけ? 怒ってる訳ないじゃん」
そう言ってナップ、いや蒸気の神はそう言った。
うん、これ確実にヤバい奴だ。怒ってる奴に限ってなんで怒ってないって言うんだろうな? 怒りが先行し過ぎて自分の状態に理解が追いついていないのかな?
「いやーにしても機械の頭のネジを抜いたり、国家転覆を企んだりと、見てるこっちも楽しかったよ! でもむちゃくちゃやり過ぎてて、流石に途中から対応できなそうだったから僕が直々に操作したんだよね。違和感は無かった?」
「え、あ、はい」
あれ、これもしかして本当に怒ってないパターン?
「因みにいつからナップに?」
「君が頭のネジを抜いたタイミングだよ。あのままじゃ普通にダメになっちゃうところだったから逆に利用させてもらったんだ。だから隣でちょこちょこ展開が面白くなるようにちょっかいをかけてたんだよ?」
「マジで?」
確かに途中からやけに人間臭いなーとは思っていたが、まさか神が操縦していたとはな。
「うん、ほら僕があまりに役に立たなかったところとか! いやーでも、まさか煙突から入って一気に深奥部に行っちゃうとは思わなかったよー。なんとか時間稼ぎをしてラスボス用意を配置しようとしたけど、最後は爆発エンドだったし、本当に君は頭がおかしいよ」
「お褒めに預かり光栄です」
「別に褒めてないんだけどなー。あ、そうだ、折角なら最後に戦い損ねたラスボスに挑戦する? 僕が手塩に掛けて作った自信作だから思いっきり楽しんじゃって!」
そう言って、ブウんという音と共に大きな大きな機兵が現れた。いままで見た中でも特に大きい。比較対象が何もないからわかりづらいが、隣にいる神が、小人になったように思えるほどだ。
……ってかやっぱりブチギレてるってことじゃんか!!!
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サブタイトルの意味はご存知ですか?
私は厨二なので日本語で言うよりこっちの方が好きです!
まあ、現実世界では言えませんが()
皆さんの好きな言葉、言いたくなるような言葉ありましたら教えてください♪
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