第1212話 炎耀石


 施設内部に侵入し見つけた謎の光る鉱石、それは紫色に淡く光っていてとても綺麗だった。


『なぁ、ナップこれは一体なんだ?』


『これは水蒸気とタービンによって生み出された運動エネルギーを変換し、内部に貯める機能を持つものです。私たちはここからエネルギーを得て生活しています』


「ふーん、なるほどな」


 現実世界だとこのタービンから電気を生み出しているが、この世界には電気がないからこのファンタジー鉱石で代用している、ということなのだろうか? だったら電気でいいだろ、とも思うがそれを言っちゃダメなんだろうな。


「俺でもそのまま使えるものなのか?」


『はい、私の機体ですので今直ぐにでもご利用いただけますよ』


「了解、じゃあこれを頂くとするか」


 そう言って俺が鉱石に手を伸ばそうとした所、


『ちょっと待って下さい! 何しようとしてるんですか!?』


「何ってこの鉱石をもらおうかなって。ほら、この鉱石自体にもエネルギーを貯める働きがあるんだろ? だったら持ち歩けばいつでもエネルギーが使い放題じゃないか」


『はぁ、知らないとは言えまさかそんなことを思いついてしまうとは……いいですか? これはこの世界の全てのエネルギーを賄っているんですよ? そんなものを個人が持ち運んだらあまりのエネルギー量に機体が耐えられません。それに、この世界の全ての機能が停止する為、転覆しようとしてる国家自体が成り立たなくなってしまいますよ?』


 ナップから物凄い早口でそう言われた。いやまあ知らなかったんだかあしょうがないだろ。


「じゃ、半分くらいにしとくか」


『いや、だーかーらー。半分でも過剰過ぎますって! 私たちがエネルギーを利用するときはこういったカード状にして利用するんですよ? これでも兵士ようで一般市民よりは多いというのに……』


 そういうナップの手には紫色をしたトレーディングカードくらいの大きさの鉱石を持っていた。なるほど鉱石を加工してモバイルバッテリーみたいにして持ち運んでいるのか。ってことはそこにエネルギーをチャージするATMみたいな場所もあるんだろうか?


「じゃあ最初から教えてくれよ。さっきの戦いでそのカード一枚分では明らかに足りなかっただろ? もうエネルギーの残量とか気にせず戦いたいんだが」


『そう、ですねー。んー、流石に二枚分とかでは足りるわけないですから……キューブ型でもいいかもしれませんね』


「キューブ型?」


『そうです、カード型より更に容量が大きい型ですね。分かりやすく言えば平面のカードに対して立体のキューブですから文字通り次元を超えた容量が内蔵可能です』


「ほほう、それならエネルギーに困ることは無さそうだな。ん、でもあの中央にある鉱石も三次元じゃないのか? でもキューブ型よりも高性能なんだろう?」


『ぱっと見は三次元にみえるかもしれませんが、それは私たちが三次元、あるいは四次元までしか観測できないからですよ。あくまで推測の域をでませんが、確実に高次元の物体であることは間違い無いですね』


 なるほど、だからこの世界を賄えるほどのエネルギーを内蔵できるわけだな。でも、そんなこと言われると触るくらいはしてみたくなるな。


『ダメですよ?』


 俺の心の声が漏れたのか、それとも触りたいという気持ちが顔に現れていたのか、ナップに制されてしまった。まあいいや。


「じゃあ、門番含め諸々倒しに行きますか」


『いや、まだキューブ型手に入れて無いですよね?』


「あ」









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今日は自分に打ち克ちました。

褒めて下さい。褒められるとすっごく嬉しいんです( *¯ ꒳¯*)✨

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