第1207話 ナップの選択
ナップがボコボコにされた理由が判明した以上、ここから先は俺一人の力で戦わなければならないことが確定した。
「なぁ、お前がもともと使えるスキルとかはないのか?」
「無いですね。というより装備を換装してしまったので、以前使えたスキル等は使えません」
おいおい、マジで何してくれてんだよ。今頑張って時間歩行で空中浮遊している俺の身にもなってくれよー。
「分かった。お前は俺が死んでも戦力カウントはしない」
「あらそれは酷いですね。私も戦えるというのに」
いや、それで毎回瀕死になって、その度に空中まで運ぶのしんどすぎるだろ。
「まあいい。それより、敵のロボット達に俺の攻撃が効かなかったんだが、ダメージを与えるには特別な攻撃方法が必要なのか?」
「俺の攻撃、というのは貴方が元より持っていたスキルということですか? そう言う意味であれば当然私たちには効かない、いえ効きにくいでしょうね」
ナップはさも当然のようにそう言った。やはりスキル自体が聞きづらくなっていたのか、そりゃ戦い難いわけだ。
「でもなんでなんだ? 機械だからと物理耐性が高いと言っても流石に限度があると思うんだが?」
自分で言うのも何だが、俺の攻撃はそこそこの火力は出ているはずなのだ。それなのに全く意に介さない様子だった。確実に何があるはずだ。
「そうですね、説明が難しいですがシステムが違う、と言えば良いでしょうか?」
「システムが違う?」
「はい。例えば自分が明るく無い言語で罵られたとします。その際貴方は確かに自分に悪口が言われていると感じるかもしれませんが、それ以上はありません。どのような悪口を言っているかが分からないからです。少し違いますが、貴方の攻撃が効かないのもそれが理由でしょう。この世界では少々特殊な理論で構築されていますから」
ふむ、つまりは……どういうことだ?
日本円を外国通貨に両替する時に手数料とかレートの違いで、めっちゃ減っちゃうみたいなことか? いや、流石に違うか。
「じゃあどうすれば下にいる奴らをぶっ飛ばせると思う?」
「そうですね、うまく変換さえできれば良いわけですから……ちょっと合体してみます?」
「は?」
「貴方が私の中に入ってそこから攻撃を繰り出してくだされば、私が変換し良い感じに出力しますよ?」
いや、そんな簡単にしますよ? とか言われてもな。俺の火力をしっかりちゃんと変換できるかも分からんというのに。
「そもそもどうやって俺がお前の中に入るんだ? 俺はデータやソフトになんかなれないぞ?」
「え、なれないんですか?」
「え、なれるもんなの?」
「というより、どんなものでもデータにすることは可能だと思いますよ? それこそ感情だってデータですし」
うわーそんなこと聞きたく無い。感情とかデータから一番遠いだろ普通。
「ん、じゃあ、本当にできるのか?」
「はいっ!」
いや、そんなに元気良く返事されてもな……
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危ない寝てた…
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