第1201話 気絶するほどの快感
やばい、しんどい、もうガチャ引きたくない。ガチャを引き始めて確実に俺自身が蝕まれている気がする。でも良い装備が欲しい。だから止められない。なまじ、良い装備を一個入手してしまっているだけに、もう一個、もう一個だけでも、という思いで引き続けてしまう。
俺は、朦朧とする意識の中殆ど使命感だけで動いていた。
というのも、ガチャを回すのがあまりにも大変、というわけではなく、単に昨夜ガチャ回しすぎて寝不足なのだ。やばい、限界だ。一旦寝よう、お休……
❇︎
ふう。
あまりにも限界すぎて、ベッドに横たわった瞬間どころか、横たわる寸前に眠ってしまっていたような気がする。
だがこれで体力は回復した。またガチャが回せる。
このガチャのいいところは無料で引けるってとこだ。基本ソシャゲとかのガチャだとダイヤだのルビーだのをせがまれるが、倉庫に侵入しちゃってる俺らはもうその時点でルール違反を犯しているため、特に請求される事なくクジを引き続けることができる。
いや、後で大きな請求をされるかもしれないが。
ただ、何が言いたいかというと、この場所にはガチャの中身が全て存在し、つまるところ当たりもこの中に確実に存在する。後はをそれを見つけるだけなのだ。まあ、それが一番難しいからしんどい思いをしているわけだが。
「お? 【剣技:爆豪水月】ってのが出たぞ! これも絶対に当たりだろ!!」
来たー! この当たりが出た時の快感、脳汁の噴出具合は他に類を見ないよな。今まで苦しかった分が全て報われるような、快感に変換されるような感じだ。
「……そ、そうですね」
だが、ナップの反応は思っていたほど芳しくなかった。
「ん、もしかしてこのスキルは弱いのか? さっきのと似たような感じだと思ったのだが」
「い、いえ! 確かにそのスキルは当たりスキルだと思います。それこそ先ほどのとなんの遜色のないレベルだと思います」
「だったら、」
「非常に申し上げにくいのですが、その当たりスキルはどちらも腕装備に発現しています。ですから、どちらか片方しか装備ができないのです……」
「あ、」
そうだ、完全に忘れてた。
俺は、とりあえず良いスキルがでないか、一体ずつ全ての装備を確認していた。それが何の装備なのかなんて一切気にしてなかった。
あー、えー、マジかよ。俺の喜びと快感を返してくれよ。ぬか喜びも甚だしいだろ。
よりによって腕装備が被るとは、運ってマジでこういうとこあるよな。妖怪一個だけたりないはどこにでもいるし、やっとでたと思ったら無茶苦茶でるし、物欲センサーは全てを制御する。
「ん、待てよ? 俺って腕がワンペアしかないからどっちかしかつけられないんだよな?」
「?? はい、そうですね。というか皆さんそうなのでは?」
「いや、実はいるんだよ、沢山腕を持った仲間が」
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実は私も確実に何かに蝕まれています。
何とは言いませんが…
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