第1191話 一家に一台
「き、綺麗にするって、冗談ですよね?? できるわけないじゃないですか」
「じゃあもしそれが冗談じゃなく、可能だとしたら?」
「え!? いやいやいやないでしょ。この世界の全貌を知っているんですか? 私でも知らないんですよ? 不可能なこと言って私を揶揄わないで欲しいのですが」
「あ、流石にこの世界全体ではないぞ? 俺がしたい分だけっていうか、できる範囲でって感じにはなるが」
「はーそういうことですか。前にもいましたよそういう輩は。自分の自己満のためだけにわざわざ人の世界にまでやってきて善意を押し付けようとする奴は。別に頼んでもいないのに。そしてそういう奴らに限って元より悪化させて帰っていくんですよね。下手な介入は何もしないよりも悪手ってことを弁えて欲しいです」
……コイツ今までに何があったんだ? 色々と屈折しすぎじゃないか? もしかして親でも殺されたんだろうか。それならこの世界の荒れ具合も分かる。いや、やっぱり分からん。だって荒れすぎだもん。
よし、もうウダウダ言ってても仕方ないしとりあえずやってみよう。結果を見せたら話が変わるかもしれないし。
「あのーもしかして本気でやるつもりですか? それなら私怒るんですが」
そう言って初めてゴミの神がこちらに近づいてきた。ってか改めてゴミの神って何だよ。ゴミと神って対義語だろ。
ゴミの神が俺に近づき、その手で俺を殴ろうとした。そのパンチはあまりにも遅く、ヘニャヘニャだったので、その拳目掛けて思いっきりパンチしてみた。
すると、神様はすっ飛んでいき、遠くの方で大きな音を立てた。きっとゴミがクッションになってくれたことだろう。
さて、じゃあお掃除を始めますか!
『ゾム〜』
俺はゾムを召喚した。ユグドラシルに入ることができるのは神だけらしいが、この個別の世界には神以外も存在する。つまり、俺の従魔も呼ぶことができるってことだ。そして、ゾムさえいればこんなゴミの山なんて無いに等しい。
『ゾム、ここにあるもの全部食べちゃっていいぞ。ただ、もし生き物や物凄いお宝が眠ってた場合には申し訳ないが吐き出してもらっていいか?』
俺がゾムにそう伝えると、分かったような分かっていないような反応を示し、ゴミを捕食するために一気に膨張した。良かった、分かってくれていたようだ。
ゾムはスライムであり、ゾンビだ。ゾンビっていうのは大抵腐ってるもんだ。つまり、ゴミなんか屁でも無いって訳だな。あまりにも優秀すぎるぞゾム。
ゾムが一つ目の山を呑み込むと、大量の虫が吐き出された。ゴミに埋もれているだけで相当数の虫やら何やらがいたようだ。ここで詳細な情報を話すとちょっと気持ち悪くなるから一旦蓋をしておこう。ただ、こいつらを殺してしまうのはダメだから少しはゴミを残そうと思う。
ってなわけでゾムがバクバクとゴミを呑み込んでいく。吐き出された住人たちは突然のことにとても驚いた反応を見せるが、すぐさまゴミ山へと消えていく。本当にそっちの方が住み良い環境なのだろう。
そして、何度目かの捕食で遂に、
「こ、これは……!」
お宝を発見した。
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台風が接近しておりますね。皆様、お変わりはないでしょうか。
どうかお気をつけくださいませ(日本語合ってる?
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