第1189話 五三


 あまりの悪臭と目の前の光景のせいで、俺は廃棄場にでも連れてこられたのかと思った。だが、冷静に考えると、ここはゴミの世界で廃棄場なんかよりもよっぽど酷い場所なのだろう。


 そういえば俺は、スキルで悪臭無効を持っていだと思うんだが、それを貫通してきているのだろうか?


 何はともあれ、とにかくここ地獄のような世界を俺は進まなければならない。この世界を展開している神に一撃を食らわせなければならないからだ。ただ、世界がこれだけ荒れているのだ、神様がどんな姿形をしているのか、考えただけでもゾッとした。


 俺は覚悟を決め、一歩を踏み出すと視界の端に立て看板のようなものを捉えた。


 これもゴミの一つだと思うのだが、あまりにも垂直に立っていたため、俺の意識に引っかかったのだ。


『【注意】この先、果てしないゴミが広がっている為、無闇に立ち入らないこと。または、全て自己責任の上で立ち入ること』


 看板にはそのように書いてあった。


 荒れに荒れているこの世界には似つかわしくない言い方で注意が書いてあった。果てしないゴミって何だよ、と突っ込まずにはいられないが、そもそも自分がゴミを出さなければ良いだけではないのだろうか?


 それともゴミを出している神とは別にこの看板を立てた存在がいるのだろうか?


 暗雲しか立ち込めていないこの状況で俺は歩みを進めていった。ただ基本的には大地が見えず、全ての土地に対してゴミが覆われているため、俺はその上を歩かなければならず、非常に歩きにくかった。また、その上でゴミ山の坂道や下り坂がその歩きにくさを加速させている。


 時折、ゴミが不安定なのか山が崩れて俺自身がゴミの中に埋まってしまったのだが、その時は流石に俺ゲームで何してんだろ、と思わずにはいられなかった。


「はぁー、ってうぁっ!」


 何度目かも分からない崩落に気分を落としていると、俺のすぐ隣になんだかよく分からない生命体がいた。人間の形をかろうじてしているものの、殆どモンスターのようで、ゾンビのような、そして骸骨のような印象を俺に与えてきた。


「い、いつからそこに!? お前がここの神なのか?」


 俺が問いかけても答えが返ってくる気配は無かった。


 ただ、ゆっくりとこちらを見ては、何事もなかったかのように向き直り、元の状態へと戻った。どうやら俺に対して一切の興味がないようだ。


 いやいやいや、目の前に人間が落ちてきたんだぞ? もうちょっと反応を見せてくれてもいいだろうに。


 ただ、反応からしてもコイツは流石に神様ではないようだ。コイツが神様だったら驚きというよりはショックだ。


 ただ、神ではないとするとこの生命体はなんだ? もしかして住民とでもいうのだろうか? でもこの世界に住みたがる奴なんているのか……? 


 か、考えるのは後にしよう。今は何よりも神様を見つけることが先決だ。ってか、できることならここから脱出したい。


 それから俺はどれくらいを歩いただろうか、風景も変わらず、ただ淡々と歩みを進めた結果、ゴミを生み出している正体へと辿り着くことができた。その正体はなんと子供だった。


「いや、子供じゃない?」









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梅雨入りしましたね。

皆さんは雨好きですか?私はそんなに好きじゃないかもです。曇りが好き。

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