第1180話 振り出しに戻る


「ってーーー!!」


 俺は自殺したすぐそばでリスポーンするとあまりの痛みに絶叫せざるを得なかった。天国のような場所なのに地獄のような状態だ。


 ってか、久しぶりに痛みというものを感じた気がする。そうか、スキルが全て無効化されているから痛覚無効も発動しなかったのか。いつもの感覚で思いっきりやっちゃったぜ。


「これはこれは、まさか目の前で命を絶ち、復活するとは。これこそ神の御業というものでしょうか? しかしそれに何の意味があるのでしょう? 私自身貴方様を殺すつもりも毛頭ありませんでしたのに」


 くっそー、人が気持ち良くいや、気持ち悪く死んでる中ごちゃごちゃ言いやがってー。こうなったらもう意地でもステータスを上げてやる。目指せ四桁アップだ!


 俺は無心で死んで死んで死にまくった。その間、案内人は俺との戦いを放棄したわけではないのだろが、俺が俺自身にかかりっきりになってたから、暇そうにしてた。なんせ、向こうが手を出す前に俺が自分で死んでいるんだからな。


 例え向こうが隙間を縫って、俺に攻撃してきたとしても、俺はその後にゆっくり死ねばいいだけなのだ。とても簡単だ。ただ、一つ心配なのが、舌を噛み切る動作に慣れすぎて現実世界でもしてしまわないかが心配だ。


 現実世界でやってしまったら笑えない。いや、ほんとに。


 そんなこんなで俺は舌噛み千切るだけでなく、切腹や身投げなど色んな死に方を行った。それにしてもリスポーン地点をここに設定したのはファインプレーだったかもしれない。今度からもし機会があれば積極的に活用していこう。


 そして時は流れ、


「おや、もう準備はよろしいので?」


「ん、俺はずっと戦っていたつもりなんだが?」


「おぉ、それはそれは。てっきり不貞腐れているのとばかり……おや? ほう、なるほど。だから貴方は自らの命をまるで塵紙を捨てるかのようにしていたのですね。貴方は死ねば死ぬほど強くなるみたいだ」


「じゃあ、第二ラウンドに行っても?」


「えぇ、もちろん」


 今度は俺から動いた。千を超えるAGIによって一瞬にして案内人の背後を……


「何っ!?」


「ふむ、確かに強くなっているようです。ただ、それだけでは足りませんよ。ここは世界樹に通づる場所であり、それは即ち神様の通られる場所ということです。さて、ただ肉体が強い者が神になれるでしょうか?」


 俺が背後を取ったと思った瞬間、俺は背後を取られていた。


「否、特別な力を持っているから神になれるのです。貴方のそれはただの力です」


 そう言って俺は蹴飛ばされ、綺麗に入り口から地上まで落とされてしまった。


 許せん。流石に許せんぞあのジジイめ。









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あれ、主人公ってこんな口悪かったでしたっけ?


本日は運営編も頑張って投稿するぞー!

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