第1178話 世界樹
一瞬にして巨大な世界樹の入り口を駆け上ると、そこには天国が広がっていた。
いや、天国には行ったことが無いから分かんないが、とても穏やかで暖かな雰囲気が漂っており、至る所に綺麗な花々が咲いている。それこそ死後はこんな場所で過ごしたいと思ってしまう程には美しく、とても居心地が良かった。
「ってことはここがユグドラシル……?」
「いえ、それは少々語弊があります」
「っ……!?」
背後から聞こえた声に振り向くと、そこには白髪でスーツを着た初老の男性が立っていた。俺に気取られることなく後ろを取ったってことは相当なやり手だぞこの爺さん。
「おほほ、そこまで警戒する必要はありませんよ。私はあくまで案内人、ここに来た神様たちに案内を行う者でございます」
「案内人?」
「左様でございます。ここはユグドラシル、あるいは世界樹のあらゆる場所に通ずる言わば中継地点のような場所です。初めて世界樹にいらした神様は迷われてしまうことが多いためこうして私が配置されたというわけです」
「ふむ、なるほど。だからここはユグドラシルではないってことか。では質問をしても良いだろうか?」
「えぇ、何なりと」
「ここユグドラシルでは神は一体何をするのだ?」
「ふむ、改めてそう問われると返答に窮しますな。ここで何をするのか、その答えとしましては、何でも、という他ありませんでしょうな。ただ、多くの神様が行なっていることをお伝えすることはできましょう。ある方は自分の住み良い空間を作り、ある者は他の神を倒し、従え、自分の力を更に追い求める方もいらっしゃいます。つまり望むことの全てをこの場では行えるというわけです」
そう言って案内人は一旦口を閉じ、再び開いた。
「貴方にそれだけの力があれば、ですが」
「ふむ、ありがとう。参考になった」
なんでもして良いってなると逆に迷っちゃうな。ただ、ここには神がたくさんいるようだ。俺もそいつらを倒してもっと強くなろう。目標はここで一番強い神様を倒すことだな。
『なあトパーズ、この案内人ってどんな存在なんだ? 神ではないのか? 味方なのか?』
『案内人はあくまで案内人です。恐らくはこの世界樹の頂点に君臨する神様から命じられてその役を担っているのでしょう。ですので神ではないと思われます。また、味方かどうかですが、敵でもなく味方でもない、完全な中立だと思われます』
『うーん、流石にそうだよな。でも中立ってことは敵対もしないってことだよな?』 『何を考えているかは察しがつきますが、やめておいた方が良いと思われます。弱者は中立の立場は取れません。いくら中立であろうと願っても強者に食われるか、取り込まれるかの二択です。強者のみ、その立場に居続けられるのです』
ふーん、だったら尚更やるしかねーな。
「案内人さん、もう一つお願いしてもいいか? 俺と手合わせしてくれませんか?」
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お久しぶりです。
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