第1177話 世界樹の入り口
ユグドラシルの入り口と言われた目の前の巨大な樹。それは予想に反して禍々しいオーラを放っていた。ユグドラシルに通ずるものならばもっと神聖な雰囲気になると思っていたのだが、少し意外だ。
『安心してください。これは種に魔力を込めた者の性質が反映されているだけです。故に神聖な人が魔力を込めれば神聖に、穢れた者が行えば同様に穢れたモノになるのです』
おい、誰が穢れたケダモノだ。別に禍々しいってだけで穢れてると表現した覚えはないんだが?
『私も貴方のことを穢れていると言った訳ではないのですが?』
……まあいい。でもまあ、俺の魔力が禍々しいってことは間違いないことなのだろう。まあ、自称魔王の魔力が一切の穢れの無い澄み切ったものだとしたらそれはそれで違うのだろうが。
「それでトパーズ、俺はこの樹に入ればユグドラシルに行くことができるのか?」
『はい。ですが、入るだけではなく登る必要がありますね』
「の、登る?!」
『そうなんです。ユグドラシルは非常に高い位置に存在しているため、まずは位置エネルギーを稼ぐことから始めなければいけません』
高い場所に行くことを位置エネルギーを稼ぐっていう表現するのか? まあ、何はともあれ、ハーゲンに連れて行ってもらおう。ハーゲンに乗ってたら非常に楽に登れるだろう。
『因みに申し上げるのが遅れましたが、これから先は貴方様お一人で向かわなければなりません』
「へ? な、なんでだよ」
『ユグドラシル及びその入り口へは神のみ入場を許可されております。神以外の者には入り口に入ることすら叶いません』
入り口に入るって……頭痛が痛いみたいになってないか? ただ、入り口がデカすぎて入るっていう表現があながち間違いじゃないのも怖いな。
「ってことは一人で登らなきゃいけないってことだよな?」
『えぇ、そうなります。ほら、この入り口の内側には通れる場所がございますので、是非こちらをご利用ください』
上を見上げると、そこには木の幹の内側部分に螺旋階段のような道が延々と続いていた。これを登るのはかなりしんどそうだ。
「なあトパーズ。これって入り口だからとにかく位置エネルギーを稼げばいいんだよな?」
『……はい、そうですが。またよろしくないことでも考えているのでしょうか?』
移動に関してはちょうど良いスキルがあるんだよな。時間はどのくらい進めようかな? とりあえず一分でやってみるか。
「【時間歩行】」
俺は真上に向かって飛び出し、一気に入り口を駆け上った。
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