第1172話 正常な異常
俺が神水を飲み続けると最初の爽快感はたちまち消え失せ、次にやってきたのは倦怠感だった。まるでアルコールを摂取し過ぎて頭が痛くなったかのようなそんな気分だ。そしてそれでも飲み続けると倦怠感が抜け、今度は体が膨張した。
正確にいうと筋肉が肥大化し始めたというべきだろう。全身の筋肉がランダムに突如として肥大化したのだ。今回俺が肥大化した部位は右上腕二頭筋と、左足の大腿筋だ。
かなりアンバランスな体勢を強いられるのだが、右腕がありえないほど隆起しているため、何かを殴ってみたいという衝動に駆られている。今なら地球さえも割ることができそうと思えるくらいには力が漲っている。
更に俺は飲み続けた。すると、まだ肥大化していない残りの筋肉が膨張し始めたが、全部均等に大きくなるのではなく、その肥大化具合はまちまちで、最初に肥大化した筋肉異常に膨張することはなかった。
さて、そんな筋肉ダルマに成り果ててしまった俺だが、それでも俺は飲み続けた。
すると今度は体に何やら結晶のようなものが浮かび上がってきた。というより、体の一部が結晶になっちゃってるって言った方がいいかもしれない。流石にこれはヤバいな……見た目が。筋肉結晶ダルマがまさかプレイヤーな訳ないよな? モンスターよりもモンスターしちゃってる。
『なあ、これはどういう状態なんだ?』
『はい、これは結晶化と呼ばれる状態異常のようです。多すぎる魔力が体から溢れ出し、結晶として固まってしまった状態になります。分かりましたでしょうか?』
『あぁ』
それにしても神水を飲み続けるだけでこんな変化が訪れてしまうとは……ただ、魔力が体から溢れ出したってことはそろそろ限界が近いってことだよな? じゃあ、最後の一踏ん張りだな。
そうして遂に、死んだ。
実際にどうやって死んだのかは分からないが、感覚的には内側から何かが弾け飛ぶような感覚だった。しかも、不思議と気持ち悪くはなかった。
よし、じゃあ後はこれの繰り返しだな。
『……正気ですか??』 『俺が正気じゃないように見えるか?』 『えぇ、とても』
じゃあよく見ておくんだな。これが俺の正気だ。
そして俺は死に続けた。
ーーースキル【魔法細胞】を獲得しました。
「【万能細胞】と【魔法細胞】が統合されます」
ーーースキル【超越細胞】を獲得しました。
よし、久々に新しいスキルをゲットできた。ただ、無効スキルじゃないのか。てっきり結晶無効のようなスキルが手に入ると思っていたのだが。
「って、超越細胞って何??」
『やはり貴方はおかしいですよ』
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まだGWが終わったという現実を受け入れられていないのですが、皆様一緒に乗り越えていきましょう()
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