第1170話 氷の独壇場


 カメを倒し、海栗を破壊した俺たちの先に待っていたのは、ワニの頭を持ったゴーレムだった。


 最初はその奇異すぎる見た目に対して警戒せざるを得なかったが、単純に水中適応能力を持った噛む力が強いゴーレム、という印象だった。


 そして、ただ強いだけのモンスターなら俺の従魔が倒せないわけがなかった。


『いんでぃれくとくらっしゅー!』


 というアイスの可愛い掛け声と共に、次々とゴーレムの間接が粉砕されていき、最終的に残ったワニの頭に対して海馬がレーザーをぶち込んでいた。


 ここで今更だが、何故海馬やアイスが水中でも普通に攻撃できているのかについて説明しておこう。


 まず海馬だが、海馬に関しては何も特別なことはしていない。元々水棲生物であるからむしろ水中は海馬のテリトリーだ。しかし、とは言っても水中におけるレーザーの威力減退は海馬でも防げないらしいから、息をいっぱい吸うなんとかしているらしい。


 俺たち肺呼吸組からしてみれば水中なのに肺活量でどうにかするという意味がわからないのだが、現になんとかなっているのでこれ以上触れないでおこう。


 そして、問題はアイスだ。アイスはとても水に関係のありそうな名前をしているが、種族は普通に犬であるため犬かきはできても、水中で生活することは不可能だ。ましてや水中でこう氷技を使うことなんて本来であればもってのほかだ。


 そこで今回俺が採用しているのが、水中呼吸ヘルメットだ。


 これをアイスに被らせることでとっても可愛いキュートなアイスが、じゃなくて水中呼吸が可能なアイスちゃんが爆誕する。


 メガネくんが見つけてくれたこれのおかげで非常に眼福状態で攻略を進めることが、じゃなくて、俺がダメージを肩代わりする必要を無くすことができた。


 実際問題、ダメージを肩代わりするだけでは溺れてしまう苦しみや視界不明瞭など様々な問題が発生していただろうから、これが一番ベストな方法なのである。だから、俺の趣味嗜好だけではないということだけここに明言しておきたい。


「ん?」


 俺がアイスの可愛さに見惚れていると、目の前にいかにもポセイドン! みたいな見た目をした、三又を持った髭が長い巨人が出てきた。ただ、大きさでいうと海馬とトントンくらいだから、巨人が小さいのか海馬がデカいのかちょっと分からない。


 俺がそれについて頭を悩ませていると、アイスが、


『ぜったいれいどー!』


 と言ってお爺さんを一瞬にして氷塊に変えてしまった。あれ、アイスー? ちょっと強すぎじゃない? 敵もかなりの強敵、ラスボスって感じの風格だったのに一瞬ですか?


 これはちょっと強すぎかもしれない。流石にナーフさせられる危険性もあるレベルだ。いや、それにしてもエグいな。ワンパンて。


 アイスに感心していると、奥に人影が見えた。


 こんな所に普通人間なんていないだろうから、囚われていたNPCか、敵か何かだろうと思った矢先、


『最強アイスーー!!』


 アイスが眼前の空間を人影諸共、丸っと氷に変えてしまった。目の前には氷の壁ができてしまってる。え、ちょっとどんな火力してるの。目の前に何リットルの水があると思ってるんですか??


 確かに最強だけど……


『む、我必要なかったのではないか?』


 うん、俺も全くその通りだと思う。アイスだけで普通に世界征服できる気がする。可愛いし。










━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ま、毎日更新は期待しないでおくれ〜…


皆さんはゴールデンウィークいかがでしたか?私はモンスターを狩っていたらいつの間に終了してしまったのですが()

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る