第1167話 水の中の戦


 目の前にいる凶器を携えた二足歩行のカメ、その眼光はとても鋭かった。


 主に凶器として握られているのは斧、ナイフ、あとは数は少ないもののモーニングスターのようなトゲトゲ鉄球を持っている輩もいた。


 そして、先ほど入口として使用したわずかな隙間は完全に塞がっている。どうやら本当に誘い込まれたらしい。もっと分かりやすい罠であれば俺も警戒したんだろうが、まさかこんな地味なトラップが用意されていたとは……


 地味だからこそ引っかかったとも言えるが悔しい。


 まあ、ウダウダ言ってないで目の前の敵を倒す他ないな。


『海馬、アイス、二人とも水中で攻撃するのに問題はないか?』


 海馬はレーザー、アイスは氷、による攻撃を得意としているから、水中でその威力が遺憾なく発揮できるかどうか、少し不安だ。海馬はまだ大丈夫だとは思うが、アイスのほうが心配だ。


『ふっ、まずはこれを見てから言うのだな。【九色之虹オレイロレインボー】!』


 海馬がそういうと、九つの頭から九つの光の奔流が放たれ、それぞれが撚り合い一つの光となったかと思えばまた分離し、それぞれの個体へと向かい各個撃破した。


 え、普通に凄いじゃん。でも、そのスキル名にする必要あったか? しかもルビ振りがダサいし。俺色ってなんだよ俺色って。それに、お前の色は別に九色ではないでしょ。


 ただ、その威力は十分過ぎるほどで十体以上いたカメたちの半数以上を倒してしまった。これからも対多数の時は何かとお世話になりそうだ。あのスキル名を聞くのはちょっと辛いが。


 さて、残りのカメも始末するか。


 そう思った瞬間だった。パリンッと何かが割れるような音がしたかと思えば、残っていたカメたちが爆散した。砕け散ったその破片は水中へと溶けるように消えていき、先ほどま囲まれていたのが嘘のように静かになっている。


『い、今のはアイスがやったのか?』


『うん! カメさんって本当に遅いんだね!』


 いや、遅いとか早いとかいう問題じゃなく秒殺してるんですけど、君。それに、二足歩行のカメだからどちらかといえば通常種よりも動きは素早いと思うぞ?


 というより、アイスが速すぎる。


 以前も敵の体内にある血液を凍結させて倒すという技を披露してくれたことがあったが、今回はその時よりも格段に早くなっている。しかも、それをまるで呼吸でもするかのように、何事もなく平然とやってのけている。


 まあ、かなり昔のことなので本人からすれば当たり前のことかもしれないが……


 一瞬にして敵を爆散させられるとか恐ろしすぎる。改めて血液不要の体で良かったと思わされるな。


 ん、でも血液以外にも身体には水分ってあるよな? それこそ七割は水分っていうくらいだし。


 これは早いうちに水分不要も取った方が良いか??








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昨日一昨日と続け様にサボっちゃって申し訳ないです…

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