第1168話 鉄板うに


 二足歩行カメどもを倒した俺たちの前に立ちはだかったのは、巨大海栗だった。


 巨大海栗も大量に設置されており、物理攻撃に対してはその持ち前の棘で完全ガード、そしてカウンターを発動し、こちらにダメージを与えてくる。棘を折ろうとしても、棘が鉄のように固く、この海栗を解体するのはほぼ無理そうだ。


 しかも、今俺たちは絶賛閉じ込められており、この海栗たちを倒さないとここから出られないという仕組みになっているのだ。この海底神殿の設計者は中々性格が悪いのだろう。


 大体、こう言う敵はどこかしらに弱点のようなものが用意されているのだが……


「んー」


 転がしてみてもどこにもそれらしきものは見当たらない。海栗なら餌を食べる為の口のようなものがあると思っていたんだが、それもないとなると大変そうだな。


『なぁ、海馬、お前が打てるレーザーを一種類ずつ撃ってみてくれ』


『あいわかった』


 だが、その全てが綺麗に反射されてしまった。これは本格的に不味いな。物理が効かない相手には属性攻撃が効くっていうのは鉄板じゃないのか?


『アイスー凍らせてもらってもいいか?』


『うん!』


 パキン! と、綺麗な音と共に完全に氷漬けにされた海栗だったが、その耐久力は先ほどよりも上がっているようにすら感じた。いやいや、凍らせらた脆くなるのも鉄板だろ、コイツらはとことん無視してきやがるな。


 ってか、これは流石にチートというか、調整ミスじゃね? どんな攻撃も効かない海栗なんて終わってるぞ? 向こうから攻撃してこないのが唯一の救いだが、攻撃したらしっかり棘によるカウンターを放ってくるし、どうすればいいんだ?


「……あ、そうだ」


 そういえばまだ鉄板は残ってたな。


 最強の盾である海栗に対して、最強の矛でもある海栗をぶつけたらどうなるんだろうな?


「おん、っも」


 俺は海栗を頭上に掲げると、もう一方の海栗へと投げつけた。すると、投げつけられた側の海栗はそれを棘による攻撃とみなし、カウンターを発動させる。そのカウンターに対して俺に投げられた海栗もカウンターを発動する。


 そしてそこからは無限のカウンター連鎖。一瞬の間に幾度となくカウンターが繰り返され……


 ッボゴン!


 と海栗が爆発した。流石に許容量以上の攻撃だったのだろう。カウンターは威力を倍増させてそうだし。


 だがこれで海栗地獄からも抜け出せるな。あとは俺が投げまくればいいだけの話だ。


『あ、そうだ海馬、もし食べたかったウニ食べててもいいぞー』




『ほ、本当か!?』


 そう言って海馬は一目散にその亡骸へと飛びついていった。俺はそこまで雲丹が好きというわけではないから、好きなら全部くれてやる。因みにアイスもまだ子供だからその良さはわかっていないらしい。


『う、うぅ……』


 海馬が呻き声を上げていたので、そんな茶番をするほど美味しいのかと振り返ってみると、海馬が完全にダウンしていた。どうやらその雲丹には毒があったらしい。


 このステージの設計者マジで性格終わってるだろ。









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これがギリギリセーフというものです。

皆さんは雲丹好きですか?私は青魚が好きです()

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