第1161話 三魔一体


 柱が落とされる数刻前、一つの柱を守っている従魔がいた。


 その柱は今回の王都襲撃において、最もプレイヤーが集まった地点であり、それだけ激しい光線地帯と化していた。


 そして、その軍勢を相手取るのは、スカル&ボーン、アスカトル、ペレ、という従魔の中でも人型の三人(四人)組だった。


 三体は各々分かれて行動し、プレイヤーたちの侵攻を食い止めていた。だが、あまりにも多勢に無勢であり、更にはご主人様の現地の人々はあまり傷つけないで欲しい、というお願いが彼らの動きを制限させ、思い切り動くことができていないようだった。


 特に、ペレは一対多数は得意なのだが、それは広範囲攻撃によるもので、建物やNPCに被害が及ぶ為使うことができていない。結果として、細々とした威力の低い攻撃しかできていないのだ。


 その反面アスカトルは、強靭な糸を自分の領域を無理やり押し付けることが可能であるため、こう言った街中での戦闘は非常に向いている。自分のフィールドを展開することによって、奇襲等も行いやすくなるため、本来であればかなり無双できるはずだった。


 しかし、これだけの人数、プレイヤーが集まればアスカトルの弱点を突いてくる者がいた。しかも大勢。


 アスカトルは例に漏れず、蜘蛛として炎が苦手だ。しかし、ペレとの修行により普通の蜘蛛では考えられないほどの炎耐性を獲得している。それはアスカトルが出す糸も同様である。


 しかし、その耐性を物量で押し切られているのだ。塵積で、マッチ程度の火でも集まれば業火となりうるのだ。その炎に対して、アスカトルはジリ貧にならざるを得なかった。


 そしてスカル&ボーン、彼らは完全なタイマン要員であった。転双や合体、分離を組み合わせることによって、相手を翻弄しまくることで確実に獲物を仕留めてきた。


 ただし、それも敵の数が圧倒的である場合にはあまり意味をなさなかった。


 どこに転移してもその先には基本的に敵プレイヤーがそこにいたし、合体したとしても、単純な火力では他の従魔に比べてほんの僅かだが劣ってしまう。その結果としてやはり苦戦を強いられてしまったのだ。


 総じて、三体とも非常に厳しい状況下にあった。


 いつもどれだけ自分たちがご主人様に甘えているのか、痛感させられた三体は会議を始めた。


『非常に不味いですね』


 と、アスカトル。


『これは一旦集合した方がよろしいかもしれません』


 とボーン。


『でも、集まったところでどうする? 自分たちの不利が消えるわけじゃないから、更にカオスになる可能性がありますよ?』


 と、ペレ。


『任せてください、私に案があります』


 とスカル。


 ここまでの念話による会話が一秒足らず。すぐさま全員柱の前に集結した。


『ペレさん、私の手を』

『アスカトルさん、私の手を』


 スカルがペレの、ボーンがアスカトルの手を握り、リンクした。そして、


『『【二位一体】』』


 四体は融合した。


 これは本来の二位一体とは違い、アスカトルとペレという異物が混入している状態。状態としてはかなり不安定で、今にも崩壊しそうだった。


 だが、四体の力が合わさり単純な和以上に強さを秘めていた。


『『『『さあ、反撃開始です!』』』』










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残りの従魔たちは家でお留守番をしております。

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