第1159話 絡絡繰繰
俺は、王族を守る女性プレイヤーへと歩き始めた。
突然のことに相手は驚き、更に警戒を強めたようだ。だが、それはこちらの思う壺だ。警戒すればするほど俺の真意には気づき難くなる。
そしてそんな相手のことなど全く気にせず俺はどんどんと近づいていく。そして聖なるバリアの前で一旦立ち止まる。すると、流石にこれ以上は近づかれることはないと思ったのか、プレイヤーと王族共々一瞬安堵したように見えた。
その瞬間俺は、領域を侵した。
そして呆気に取られている相手方を無視してプレイヤーの右手に大事そうに抱えられたアイテムを奪い取った。
「へ?」
すると、俺の読み通りプレイヤーの放っていたスキルが消滅し、聖なるバリアが解かれてしまった。
「き、貴様何をするっ! それは王家に代々伝わる、宝なのだぞ! 貴様のような汚れた者が触って良い代物ではないっ!」
俺がアイテムを強奪し、再び距離を取ると、我に返った王様はそう喚き立てた。ただ、自分で取り返しにくる度胸はなく、距離を取ってしまった今では、大の大人が駄々を捏ねているようにしか見えない。
それにしてもこれはそんなに重要なアイテムだったんだな。確かに、スキルのデメリットを打ち消すような効果だろうから相当貴重なもんだろうとは思っていたが、まさか国宝級とは、とんでもない牡丹餅をゲットしてしまったぜ。
「な、なんで……?」
プレイヤーは俺からアイテムを奪われたことよりも、俺の侵入を許してしまったことに驚きを隠せないようだ。まあ、それも仕方ないことだが、もちろん俺にもカラクリはある。とは言っても大したことではないのだが、ちょっとしたズルだな。
恐らく敵は俺を魔王か何かと思っているだろう。圧倒的諸悪の根源で、この災厄を齎す者、そのような認識をしているはずだ。そんなプレイヤーが俺を目の前にして聖なるバリアを展開するのことは、至極当然のことだ。
そして、天の声さんはあのバリアは全ての攻撃を弾くものか、魔のモノを弾くものだと言っていた。事実、頑張って展開した妖術も、俺のどんな攻撃も完全に防がれてしまった。
ただ、勘違いをしてはいけないのが、俺自身は魔のモノでもなんでもない、ということだ。
俺の従魔、そして妖——ここでは妖魔と言っても良いかもしれない——たちは当然魔のモノである。ただ、俺自身は生粋の人間であり良いも悪いも無い。つまり王様達と同じ同族なのだ。
更に言えば、プレイヤーに善悪を当てはめる事自体、不可能なのだ。
もしそれが可能であるとするならば、それは予め定められたシステムの上でしかあり得ないはずだ。そしてそのシステムとは職業であろう。それによってその者がどちらの陣営なのかが明確に区分されるはずだ。
そして俺の職業は人神、悪い要素は一つもない。つまり、魔を防ぐバリアは効果をなさないということだ。
それに加えて攻撃が弾かれるのならば攻撃をしなければいいだけの話だ。俺が歩み寄るのは別に攻撃ではないからな。バリア自体に人工知能が付いてて、それが判断するならまだしも、そんな機能が付いているとは思えない。
そんな訳でバリアの無力化に成功した俺は、プレイヤーを始末し、NPCたちを手中に収めた。
これで無事、王都陥落だな。
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架空の生物を考えてくださいっ!
どんなものでもオッケーですが、強ければ強いほどいいです。
設定は細かくなくても、アイデアだけでもいいです!
幻獣とかに限りませんが、幻獣ももちろん待ってます!
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