第1157話 陥落王都
そもそも、何故俺が王都を陥落させようと思ったのか。それには二つの理由がある。
一つ目は信仰ポイントのためだ。神になってからというもの、信仰ポイントというのは様々な用途で使用することができ、いくらあっても足りない。だからこそ、大量に生産できるシステムを構築したかった。
王都全体を手中に収めることによって、市民、いや都民? ……まあ、そのNPCたちに強制的に信仰ポイントを稼がせるだけでなく、周辺プレイヤーたちにも魔王の脅威が伝播することとなる。
それにより、少しでも魔王に対しての畏怖が発生することによって僅かではあっても信仰ポイントが発生する。まあ、いわゆる塵積もってやつだな。プレイヤーは数が多いからこそ非常に有効だ。
二つ目の理由は第二の拠点としての役割だ。
王都が落とされることによって、プレイヤーたちは魔王城ではなく、まずは王都を取り返そうと思うはずだ。これこそが正に俺の狙いだ。
これからユグドラシルに向かうに当たって、全勢力を投入したいと考えている。そんな時に魔王城が陥落する心配はあまりしたくない。だからこそ、失っても良い王都を手に入れることで、緩衝材にするのだ。
それに、この王都は王都なだけあって、様々な施設、それも防衛に関する設備が整っている。最小限の人員だけでも効果的な防衛が可能だろう。
そんなわけで俺は今、信仰ポイントが非常に潤沢にあり、これからもガッポガッポ稼げる状態で、後顧の憂を断ち、完全にユグドラシル攻略へと歩みを進めることができるのだ。
「じゃあ、天の声さん。ユグドラシルに行くために必要な三つのアイテムについて教えてくれ」
「神水、無界樹の種、月光プリズムの三つですね。しかし、私から聞くよりも自分で足を使って情報を入手した方がよろしいのではないでしょうか?」
「え、なんで?」
「信仰ポイントというのは様々な用途がございます。確かに、情報は時に何にも変え難いほどの重要性を持ちますが、このポイントも決して無限ではありません。しっかり吟味してお使いいただける方が良いかと。因みに、この情報は特別にタダにしてあげますよ」
む、最後の一言は余計だったが、確かにその通りだな。ユグドラシルで何が待ち受けているか分からない以上、湯水の如く使っていいわけじゃなさそうだ。それに、天の声さんは確実にそこで何が起きるか知っている上で、アドバイスをしてくれていると思う。従わない理由はないはずだ。
「懸命な判断でございます。それに、都合よく情報源も身近にあることですし」
情報源? そんなものあったか? メガネくんはもう情報屋としてではなく、俺の参謀としてプレイしてもらっているし。あ、前何かを教えてもらった爺さんのことか? ただ、身近か、あの爺さん。王都周辺にいるならともかく、どこにいるかも知らないんだが。
ここら辺で俺が知らない情報をたくさん持っていそうな奴……
「あ、王様か」
「ご明察」
王様なら、代々王家にしか受け継がれない秘密だったり、アイテムだったりを持っているかもしれない。王様だからその価値は計り知れない。しかも、王都にいるのは王様だけではない。宰相や学者など様々な人間がいることだろう。
そいつらからユグドラシルに関係してもしなくても有益な情報を得られることは間違いなし、だ。
早速俺は王室へと向かい、謁見を試みようとした。
「ごめんくださーい」
だが、そこには聖なるバリアで守られ、今にも隠しルートから脱出を試みようとする王族の姿があった。
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昨日はしれっと休んじゃってごめんなさい。
実は今日も危なかったけど、なんとかセーフ。
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