第1154話 天声即妙
アシュラの様子を確認し終え、他の場所は大丈夫だろうかと様子を見に再び上空へ戻ったところ、衝撃的な光景を目にしてしまった。
なんと、俺の従魔ゼインがやられかけていたのだ。
それは丁度、弓矢を当てられ更に大量の水でできた槍を食らっているところだった。しかもその弓に関しては、三つの手榴弾を宙に投げ、それら全てを矢で射抜いた上でゼインの頭に命中させている。恐るべき技量だ。
技術だけで言ったら、俺の剣術なんかとは比にならないレベルだろう。俺ももっと研鑽しなければ。
って、そんな場合じゃない。急いでゼインを助けなければ。
そう思い、一直線にゼインの元へ駆け付けた所、
何が起こったんだ?
「どうやら、ゼイン様周辺の空気を真空にし、炎が燃えるために必要な酸素を排除したようです」
なるほど、それはそれはやってくれたな。
「このタイミングで王様が直々に登場するとは……相当にこの柱が大事なようね?」
敵が何かを言っている。だが、何を言っているか聞こえないし興味もない。まずは相手の動きを止める。そしてゼインの様子を見る、まだ助かるかもしれない。そしてその後に確実に仕留める。絶対に殺る。
「ご注意下さい。そちらは酸素が存在しない範囲ですよ」
五月蝿い。そんなの俺には関係ねー。
絶対に許さない。
「【天絶之剣】」
よし、これでゼインに構うことができる。ゼインの反応は……なし。ただ、僅かでも炎はまだ残っているかもしれない。火を扱うときに、よく大人たちから見えないところまで火が伸びている可能性があるから気をつけろと言っていた。だから、きっとゼインもまだどこかにいるはずだ。
「残念ながらゼインの反応は完全に消滅しました」
五月蝿い。反応はなくても、存在しているかもしれないだろ。諦めてんじゃねー。
「諦める諦めないの話ではありません。貴方の優秀なスキルを使っても反応がないということは存在しないということです。それよりも冷静になってください」
俺は至って冷静だ。だからこそゼインを探そうとしているんだ。
「いえ、冷静ではありません。なぜなら、ゼイン様を復活する手立てを知っている可能性があるのはこの場で私しかいないというのに、貴方はそれに頼ろうとしていません。まずは私に聞くべきなのではないでしょうか?」
「……」
お前は知っているのかゼインを甦らせる方法を。
「もちろんですよ。ただ、教える代わりに私の言うことも聞いてください。ゼイン様を復活させた後に、まだ生き残りがいますから確実に処理してくださいね」
そう言われて初めて気がついた。三つの敵の反応のうち一つだけまだ残っていた。先ほどの攻撃は絶命させようと思って撃ったものではないが、勝手に死んだと思ってた。
あぁ、本当に冷静じゃなかったようだ。
「じゃあ教えてくれ、ゼインを甦らせる方法を」
「はい、では落ち着いて聞いてください。まず、ゼイン様を生み出した時に使用したスキル、今では進化していると思いますが、それを使用してください」
俺は言われるがままにスキルを発動する。
「【魔炎】」
すると、その場に一瞬にしてゼインが登場した。しかも、紫色の炎と言う強化された姿になって。
「……え、なんで??」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
種明かしは次回。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます