第1152話 華の帯同(別視点)
「イチゴーそっちに敵行ったよーよろしく!」
「はいっ、ですわ! 【大海魔術、ハイドロキャノン】!」
「ナイス! あ、後ろ!」
「【ホーリーシールド】」
「ひっ! ハクちゃんありがとう、ですわ。はぁ、また私がやられるところでしたわ……」
「大丈夫、みんなは私が守る」
「ふふっ、カッコいいわね。でも一旦休憩しましょ? このままじゃハクちゃんが守りすぎで疲れちゃうわ」
「そうですわね。流石にこの辺りになると敵も一筋縄ではいきませんわね」
「うん。気を引き締める」
私たちは今、魔王城付近でレベリングを行っていた。いつかはこの三人での魔王城攻略を目指して日々頑張っているのだ。
それにしてもゲームは楽しい。体を動かした気分になれてリフレッシュできるし、何よりいつでもどこでもイチゴちゃんやハクちゃんに会えるのが嬉しい。
こんな可愛い子たちと一緒にプレイできるだけで幸せというものだわ。
「ん、どうされましたの、お姉様?」
「うんん、なんでもないわ。それより聞いて、今知らせが入ったんだけど、どうやら王都が魔物たちに襲われているみたい。しかも、それらは魔王軍の魔物と思われる、らしいわよ。つまり、今魔王城に行けば守りは手薄になっているかもしれないよ、どうする?」
「で、でも王都の方は?」
ハクが不安げな声で言った。ハクちゃんは口数は少ないけど誰よりも心優しい女の子だから、当然誰かのことを最優先に考える。本当に、素敵な子。大好き。
「かなりヤバいみたい。今さっき来たのも応援要請だったからね」
「そ、それなら王都に行くしかありませんわ! それに、私たちなら万全の体制の魔王城でも攻略できるはずですわ!」
イチゴちゃんは……真っ直ぐ一直線、って感じ。そんな所が愛くるしいんだけどね。
「ふふっ、やっぱり二人ならそう言うと思ったわ。じゃあ王都へ行きましょう。それに、私たちがどれくらい強くなったか見せつけてやりましょ!」
「はい、ですわっ!」
「うん」
そう言って私たちは王都に急行した。
正直な所、イチゴちゃんには申し訳ないけど、今の私たちじゃ到底万全の魔王城は攻略不可能だと思う。勝率は99%もない気がする。だから心のどこかで今なら、と言う気持ちはあったけど、同じくらい二人が王都へ行く、と言うこともわかっていた。
その上で、逆に魔王城の守備がゼロということも考えられない。どのくらい本気で王都を落としに行ってるかにもよるけど、いくら魔王軍が強かろうとも、王都は馬鹿にならないはずだ。それなりの戦力を投入していると考えられる。
ということは、魔王城攻略を目指す私たちにとって今回の王都防衛戦は、大きな試金石になるはずだ。
楽しく幸せにプレイしていたけど、手を抜いてプレイしたことは一度もない。間違いなく私たちは成長している。それを全力でぶつけにいく。それが目標達成にも繋がるはず。
❇︎
王都に到着した私たちが目にしたのは、あまりにも禍々しいオーラを放つ、柱だった。それらは今もなお徐々に高さを伸ばしている。
あれは壊さなければ不味い。私たち三人がそう思った時、目の前に魔物が現れた。
「二人とも、行くわよ。最初から手加減はいらないからね!」
「うん」
「はい、ですわっ!」
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次回まで続きます。
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