第1145話 指導者


 コイツの言ってる無血開城って……襲わないけど死なないゾンビを街に徘徊させまくる、ってことだろ?


 まじで人間には思いつかないような方法じゃね?


 でも確かに俺のNPCは殺したくない、という願い叶えた上で王都を陥落させてプレイヤーにもNPCにも恐怖を、畏怖を植え付けられるような方法だ。


 これが天の声……ちょっと見直したかも。


「もっと見直してくれてもいいんですよ?」


 いや、やっぱり見直さない方針で。


 でも、問題はこれをどうやって魔王軍に伝えるか、なんだよなー。今までは従魔とメガネくんと妖、くらいだったものが一気に人数が増え、一人で制御できる範囲を超えてしまっている。


 どうやって統率を取ったものだろうか。


「人間を含めあらゆる知能体は適切な報酬を与えることで、ある程度行動をコントロールすることができますよ?」


 それをお前が言うと怖いんだよなー。でもまあ確かにそうか、褒美があれば意味不明な行動でもやろうっって思えるもんな。


 でも、理にはかなっている。そして、俺ならその褒美はいくらでも用意してあげられる。


 ❇︎


 俺は魔王軍をコロシアムに再び集結させた。


「今日集まってもらったのは他でもない、人間の大事な首都である王都を陥落させ、我が手中に収めるのだ。ただ、我は血を望まぬ、求めるは貴様らの死のみだ。貴様らの死こそが我の力となり、貴様らの血肉となるのだ」


 それっぽいことを言っているが俺は今、自分の部下に対して死ねと言っている。冷静に考えれば頭がおかしい。ちゃんと説明をしてあげなければ混乱を招く恐れがある。


「死とはもっとも効果的な方法だ、人に恐怖と混乱を与える上で。更に、その死の波がいくら抵抗しても迫ってきたら? 人々は絶望に打ちのめされるだろう。武力では真の意味で人は絶望しない。死を感じるによってのみ絶望するのだ」


 ま、本当は絶望を感じた時に死にたくなるんだけどな。


「絶望によって人間界を支配、世界を我が物にする。その足掛かりとして本日をもって王都は我らのものとなる。貴様ら、何度殺されようとも臆せず進軍するのだ。我らにとって死こそ救済、死を持って生を制するのだ」


 反応は悪くない。この調子だ。


「貴様らにただ死ねというわけではない、死に近づくことができた者には我から褒美をやろう。死をも受け入れられる圧倒的な強さを。さぁ、開始するのだ。絶望の行進を!」


 さあ、この異常事態に人間様たちはどうするんだ? せいぜいこちらのキル数を稼ぐ為に頑張って抵抗してくれよな?



ーーー称号《死導者》を獲得しました。







━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

マジで本当にガチで今日はサボるかと思いました!頑張った私を褒めてチュウ!(。>﹏<。)


あと、今日は休みなんだーって思った奴、我の勝ちだ。

(皆さんも読めたので勝ちですね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る