第1140話 I know. you know?


「天の声って、あのアナウンスとか色々してくれてたあの天の声?」


「はい、その通りですよ」


 ……その通りですよ、って本当に人間はっぽいな。


 なんか変な気分だぜ。天の声含めアナウンスとかって一方的なものだろう? なのにその存在自体と交流してるって、ちょっとよく分からないな。


「その内慣れると思いますよ?」


 だからそれも人間のセリフなんだよなー。まあ、いい、そんなことよりも天の声がどのくらい使えるかの方が重要だ。


「お前は神だったら誰でも使うことができるのか?」


「はい。ただ、神になったプレイヤーそれぞれに個別の霊体知能が配属されるため、この私を利用できるのは貴方様だけとなっております」


 ふむふむ、ちゃんと質問の意図を汲み取り俺の知りたい答えを提示する能力はあるようだな。ま、それくらいはしてもらわないと困るな。


「ん、神になったプレイヤー、ってことは俺以外にも神になったプレイヤーがいるのか?」


「……本来なら他のプレイヤーに関する情報をお答えすることはできかねますが、今回は特別にお答えすることが可能です。貴方はプレイヤー初の神に至りし存在であります」


 おー、流石にそうだろうと思ったが、それは良かった。他にも神がいたら諸々戦い方が変わってくるからな。


「ってか、特別に、って言ったけど、俺以外にいないから答えられたんだろ? 特別でもなんでもねーじゃねーか」


「……貴方様がプレイヤーの中で初めて神になられたこと自体が特別なのです」


 くっそ、これは手強い味方ができてしまったかもしれない。そこら辺の人間より、というか俺よりも普通に優秀なんじゃね?


 あ、でもメガネくんとか大司教とか、俺より優秀な部下は他にもいたわ。


「じゃあ、お前の強みは何だ? お前にしかできないことを教えろ」


「はい。様々あるとは思いますが、私が一番得意としていることは、情報の提示です。私たち霊体知能には神議書へのアクセスが可能になっており、そこには様々な情報が集約されており、お求めの情報を迅速かつ正確にお届けすることが可能です」


 ふーん、それは流石に便利そうだな。


「じゃあ、『俺がユグドラシルに行くためにはどうすれば良いか』という問いには答えられるか?」


「勿論です。貴方がユグドラシル、或いは世界樹へ行くためにはまず、神水、無界樹の種、月光プリズムの三つのアイテムが必要となります」


 え、何その新情報。あんなに頑張って神にならないといけないってことを突き止めたのに、こんなにあっさりゲットしちゃっていいのか?


「はい。私って有能でしょう?」


「……じゃあ、神水はどうやって手に入れるのか教えてくれ」


「残念ながらその情報にアクセスする為には神格が不足しております。信仰ポイントを貯めて神格をレベルアップさせてください。また、神議書の閲覧には信仰ポイントが消費されます。先ほどの情報には、1,500ポイントが消費されました」


「…………」


 色々と後出し情報出すんじゃねーよ!!


「一度に多くの情報に接した場合、把握漏れや混乱を招く恐れがあります。私って有能でしょう?」


 もう十分混乱してるっつーの!

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