第1128話 儀式のために
俺は謎に進んでしまっているクエストの進行状況を傍目に、ただただ、ぼーっと儀式を見守る事しかできなかった。
そうしてどのくらい時間が経っただろうか。遂に儀式が終了し、脳内でピコンという音が鳴り響いた。
すると、蜘蛛の子を散らすかのようにさーっと信者たちが解散していった。ここは地下で入り口はあの教壇だろ? 出口がまた別にあるのか?
ん、ちょっと待て。ってことはあの司祭も外にでてしまうかもしれない。現に、信者が全員帰った今、帰り支度を始めている。
出口が分からないから先回りをする事もできない。くそ、こうなったら少々手荒な真似をさせてもらうぜ?
「【麻痺の魔眼】」
「っ……!?」
ふぅ、これで一安心だな。さて、取り調べを始めさせてもらおうか。
「あ、あなたは!!」
俺の接近に気づいた司祭が、俺の姿を見て、そう叫んだ。つまり、俺がちゃんと魔王ってことに気がついているみたいだ。
良かったー、これで万が一俺のこと忘れられたりしてたら、第一声なんて言おうか迷うところだった。
「あぁ、久しぶりだな。ここを見るに随分と活発に活動してくれてるみたいだな」
向こうが気づいたことに気づいたことをこちらも示し、そのまま会話のジャブを放った。
「あ、ありがとうございます!」
「近況を教えてくれないか? 最近は別件で忙しくしていたから中々様子を見ることができなくてな」
「とんでもないです。お城の方が攻められていたのは私共も認識しておりましたので」
「あぁ、だがそちらも一段落着いたから、今一度、神を目指そうと思ってな」
「そうでしたか。でしたら私としても全力でサポート致しますので、何なりとお申し付けください!」
「ありがとう。じゃあ一つ質問していいか?」
俺はそう言ってから言葉を詰まらせてしまった。えーっと、何から聞こ?
あ、そうだ。
「今儀式はなんだ? 毎日開催しているのか?」
「はい。先ほどの儀式は参加者のステータスを永続的に上昇させる儀式となります。もちろん、上昇幅はそこまでありませんが、生贄を用意して皆で祈りを捧げれば平等にステータスが上昇するので、毎日とまでは行きませんが、かなり頻繁に行っております」
な、ステータス上昇? それは結構デカいな。しかも一時的なバフじゃないのもかなり強い。あ、さっき頭の中でピコンって鳴ってたのはステータスが上がったことなんだな。ってきり儀式終了の合図かなんかかと思ってたぜ。
「その生贄はどうしているんだ?」
「そうですね。私たちは戦闘力に関しましてはまだまだ発展途上ですので、基本的に信徒全員で狩りにでかけ、素材が集まり次第、という感じですね」
まあ、そうだよな。弱いからこそステータスを上げてるんだし。
「なるほど、その生贄はなんでもいいんだよな?」
「は、はい。勿論です! ただ、大量の弱いモンスターより、強いモンスター単体の方が上昇幅としては大きいですね」
「そうか。じゃあ、あまり足しにはならないかも知れないが、これを使ってくれ」
そう言って俺はスチュパリデスの死体を目の前にぶち撒けた。量に関してはかなりあるが、そこまで強くなかったから、そんなに上がんないだろうなー。
「こ、こんな強そうなモンスターをこんなに沢山っ!?!? あ、ありがとうございます、感謝します! これは今すぐ儀式を行わなければなりませんね、直ぐに召集致します!!」
そう言って司祭がどこかに連絡すると、どこからともなく信徒たちが現れた。
ん、ってか俺の姿見られちゃ不味くね? 一応この人たちの神になろうとしてるんだろ? 神様ってフレンドリーから一番遠い存在なのに、姿を見られるなんてことはあってはならない。
バフッ
俺は急いでスチュパリデスの死体の中に姿を隠した。
「……」
あれ、ちょっと待てこれって俺自身が生贄になっちゃうんじゃないか??
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ど、どうしてこうなった…??
生贄と言えば羊ですが、みなさんは羊肉食べたことありますか?私は多分ありません。
また、皆さんの好きな天気を教えて下さい。
私は雪が好きですかね〜
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