第1127話 密教
地下から反応があることは分かったんだが、地下への入り口が見当たらない。いやまあ、簡単に見つかったらダメなのかも知れないが……ちょっとズルかもしれないがスキルを使わせてもらおう。
「【全知全眼】」
ん、距離が遠いのか、スキルをアクティブにしてもまだまだ分かりづらいな。ただ、さっきまでと比べたら段違いだ。どうやら気配は教壇の方から漏れ出ているみたいだ。なるほど、教壇の下に通路があるんだな。良いカモフラージュだ……
「ない!?」
は? これはどういうことだ? 確実にこの下から人の気配を感じるのに、入り口が見当たらないぞ? こういうのは教壇の下が地下への入り口になっているもんじゃないのか?
俺はスキルを発動しながら、そして自分の目でも確かめながら地面を隈なく確かめた。しかし、いつまで経ってもそれらしきものは見当たらなかった。諦めて別のルートから司祭を探そうとした時、
「いてっ」
教壇に頭をぶつけた。
ガコッ
「え?」
そこからはあっという間だった。気づいたらウォータースライダーの水抜き版のようなものに乗せられ、気づけば俺は、ヤバめのライブ会場みたいな場所に降り立っていた。
観客席と思われる場所には温度の高い信者が、そしてその奥には一人の男が演説のような儀式のようなナニカを行っていた。
「え、えぇ……」
俺が放っている内に、俺の信者たちがとんでもないことになってる。いや、確かに神様になるってことはそれと同時に信者、もとい宗教を作るってことなのかもしれないが、これは確実に密教じゃん。本人たちもその自覚があるから地下でやってるんだろ?
マジで今、どうなってるんだ? ステージ上にいるアイツに話しかけたいけど、絶対に今じゃないしなー。それに何してるのかもめっちゃ気になる。分からないものって本当に怖いんだな。
「あ、そういえば」
確か、神になる為のクエストが発生していたはず。それを見れば今、がどんな状況なのかはわかるはずだ。
▪︎神への挑戦(2)
・信者を作る(2123/500)
・儀式を行う(103/5)
・司祭を選定する(1/1)
「はぁ!?」
ちょっと待って信者2000人以上いるの?? しかも、儀式も100回以上行われてるし……これはマジで取り調べが必要だな。
俺は行われている儀式を最後まで見届け、壇上にいる司祭へと歩みを進めた。因みに、儀式は最後まで見た上で何がどうなっているかは謎だった。側から見ている感じ、何かを捧げているような感じが見て撮れたが、それが何かは分からなかったし、知りたくもない。
今はただ、あの司祭から何がどうなっているかを教えてもらいたい、ただそれだけだ。
だが、そんな俺の願いなんてお構いなしに、ただただ、ぼーっと儀式を見守る事しかできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます