第1126話 神への足掛かり


 神に至りし者、かー。まさかユグドラシルに行くための条件として神になること、があるとは思わなかったな。普通、ユグドラシルの先に? 中に? いるもんだろ。まさかすぎるだろ。


 ただ、幸運なことに、俺は神に至る術を知らない訳ではない。と言うか、一度志していた身だ。気づいたら頓挫していたんだが、また途中から始めればいいだけの話だ。


 そういえばプレイヤーで司祭が居たよな? アイツ、何してんだろ。かなり長い間ほったらかしにしてる気がするんだが……


 よし、一旦城へ帰るか。プレイヤー達の侵攻がその後どうなったかとか、司祭は今どこにいるのか、とか色々確認しないといけないからな。


「ハーゲンッ!!」


 城に帰ると、いつかの喧騒は綺麗さっぱり無くなっていた。どうやら、幻術にかけられた者達は自動的にこの城から遠ざかるシステムになっているらしい。めちゃ便利だよな、これで一先ずプレイヤー達の心配をする必要は無さそうだ。


 後は司祭だが、マジでどこにいるんだろう?


 こう言ってはなんだが、本当に覚えてないし、名前どころか顔すら思い出せるか怪しいレベルだ。


 そして頼みの綱であるメガネくんも、今はログアウトしているらしい。そりゃまあメガネくんも人間だからな。ログアウトしてくれなきゃ逆に心配だ。


 だが、自分で探すとなると何も手掛かりがない。それこそユグドラシルより難航するんじゃないか?


 と思ったその時だった。俺に一つの天啓が降り注いだ。いや、注いじゃダメか? まあともかく俺は一つ重要なことを忘れていたのだ。そう、教会を建てていた、と言うことを。


 つまり、司祭であるならばそこを拠点に活動しているだろうし、そこにいけば何らかのヒントは得られるはずだ。


 ❇︎


 教会に到着すると、久しぶりだからか、少しデカくなっているように感じた。まあ、教会を建てた後すぐにゴタゴタに巻き込まれてたから、そもそも見慣れていない、ってのはあるんだけどな。


 一応、自分の建物のはずだが、少し緊張しながら扉を開けると、そこには豪華絢爛な内装が広がっていた。


「は?」


 いや、これはおかしい。絶対におかしい。こんな内装にしろって言った覚えもないし、前までがどんなのかは覚えていないが、こんな煌びやかではなかったはずだ。つまり、外観も内装も誰かがいじっている、と言うことだ。


 となると心当たりは一人しかいない。


 ただ、教会の中に誰もいない。改装されてるってことはその時までは活動が行われていたってことだろうが、もう辞めてしまったのか? でも、わざわざこんなに改装してまで辞めることなんてあるか?


 俺が訝しがっていると、俺のスキルが地下に反応を示した。


 ん、これは何だか不穏な、そして面白そうな匂いがするな。地下で一体何をしているんだ?








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