第1112話 知られざるモノと闇に葬り去られしモノ


 内蔵されている経験値を割り振るだと!? ちょっと待て、そんな話一度も聞いたことがないんだが?


「……」


 そうか、俺は服従でテイムして、強制進化で育てていたから、最初から最後まで間違った方法を選択してたんだな。本職のテイマーさんたちはちゃんと、きちんとしたレクチャーを受けてるんだろうなー。そりゃ、正統な進化なんてできるわけ無いはずだ。


 え、じゃあ俺が悪いじゃん。ハーゲンを一人悩ませて、一緒に解決しようなんて言ったくせに、元凶俺ってこと!? これはもう、真実を闇に葬り去るしかないな。申し訳ないとか以上に恥ずかしいし、情けない。


 その後、メガネくんの話を聞くと、どうやら従魔が得た経験値は、半分が俺自身に振り分けられ、その半分を自身に蓄積していくそうだ。


 そりゃ、経験値を気にしていない俺が気がつくわけないよな。


 そして、レベルは俺みたいに自動で上がるのではなく、こちら側が経験値を消費してステータスを振ることで、レベルを上げられるらしい。


 え、そんなのマジで聞かないと分からない奴じゃん。


 ん、ってことはハーゲンだけじゃなく従魔全員経験値が蓄積されてるってことじゃ無いのか?


「よし、今から大強化タイムだ!! 全員集合!」


 って、模擬戦した後だからまだみんなここに残ってるな。よしじゃあ一人ずつ見ていくか。まずは、アシュラからだな。お前はどう考えてもSTR極振りでいいだろ? アスカトルはーAGIで、スカルとボーンは、ちょっと難しいな・・・


 そんなこんなで全従魔にステータスの振り分けが終わると、先ほどまでとは比べ物にならないほどのオーラが溢れ出ていた。


 え、ちょっと待って。強化前のお前らに負けたってことは、今の状態じゃ絶対に貴方達に勝てませんよね? クーデターの日は近いですか??


「ゴホン」


 気を取り直して。改めてステータスを振ってみた結果だが、全員見違えるように強くなった。今までの強制進化が携帯の機種変とするならば、今回は大型アップデートみたいな、そんな感じだ。


 ただ、魔の機種変を行いまくったせいで、事前にメガネくんに聞いてたレベルアップによる進化は誰一人として出なかった、ただ一人をを除いては。


 最後に回したハーゲンのレベル上げを行なっていると、正統進化と思われる進化先がいくつか出てきた。ただ、流石は筆頭従魔、経験値があまりにも多すぎたので後で吟味しようと思ってとにかくレベルを上げ続けていると、奇妙な選択肢が出てきた。


「ヴェズルフェルニル?」


 なんじゃそりゃ。聞いた事ない響きの名前だな。他の選択肢はでっかくなったり、属性がついたりしてるのが一目見て分かる名前になっているのに、このゔぇずるふぇるにる? だけは何のこっちゃ分からない。


 俺としてはこの進化先を見てみたい気もするのだが……


『……!!』


 あ、はいそうですか。貴方もこの進化先がいいんですね。そんなに目をキラキラ輝かせられたらもう何をいうまでもなく分かっちゃうな。こんなに口ほどに物を言ってる目を初めてみたぞ。


 じゃあ、人生初のちゃんとした進化、行きますか!


「ヴェるず、あ、ヴェズルフェルニルに進化!」


 ……ちょっと今のやり直すことってできませんかね? なんて、俺の願いなんて聞き入れられるわけもなく、ハーゲンは白い光に包まれてしまった。


 そして、そこから現れたのは……鷹だった。







━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

土日のどちらか毎週更新できたらいいなーって思ってます。

沢山読みたいなーって方は応援コメントよろしくお願いします!

それが唯一の、励みです!!٩(♡ε♡ )۶

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る