第1103話 クラクラ
メガネくんの試合が終わり、残る従魔はハーゲンとスカルボーンだけとなった。
折角だからこの二人を戦わせてもいいんだろうが、従魔以外だとあの爺さんが残っている。あの爺さんと戦わせるとしたら、この組み合わせがいいだろう。
「次はクラーゼとスカルボーンだ!」
クラーゼは俺の先輩の破戒僧で、俺もまだ使えない心界支配という必殺技まで使えるという、意外と凄い人だ。ま、今は俺の城に居候してるから威厳もクソもないが。
ただ、心界支配に関してはプレイヤーとの衝突も間近ということでいよいよ習得しないといけないと思っている。だから今までも教わっていたが、こうして実践で使っているところを見ればまた何か掴めるかもしれない。
「はじめっ!」
開始直後、両者の姿は対照的だった。スカルとボーンは闘志が滲み出ているような感じだったが、それに対してクラーゼはとても気怠そうにしていた。今でも鼻でもほじりそうな雰囲気だ。
しかし、結果は思ったほど呆気なかった。
転双を駆使して撹乱し、拳を届けようとしたスカルボーンに対し、クラーゼはゆったりと心界支配を発動した。
動きだけを見ていると、それは何もしていないようにすら見えるのだが、確かにクラーゼから発せられた何かがスカルとボーンを捉え、動きを止めた。
二人は何かに取り憑かれた様にダラーんと腕を伸ばし、目は虚になり、その姿はまるでゾンビのようだった。
その時点で試合は続行不可能となりクラーゼの勝利で終わった。
これが心界支配の強さ。何度見ても強いし、理解不能だし、異次元だ。俺も早く使えるようにならなければならないのだが、まるで使えるようになってるビジョンが見えない。
クラーゼが言うには自分の感情を使って相手を支配するらしいのだが、分からない。早く使おうと焦れば焦るほど、どんどんこんがらがり、もはやこの困惑で心界支配ができそうだと思うほどだ。
よし、今は切り替えて次の試合を考えよう。次はいよいよハーゲンだ。相手は……誰かいるか? 他の従魔はもちろん、妖たちも大方戦ってもらったからなー。
あ、そういえばアイツはまだ戦っていなかったな。
「じゃあ次は鵺とハーゲンだ」
鵺って何故か鳥のイメージがあったのだが、実際は猿の顔、狸の体に虎の手足、そし尻尾が蛇という和製キマイラのような妖だった。
そういえばハーゲンは一度死んでしまったが、以前はキメラだったからそのままであれば面白いキメラ対決になったのかもしれないな。
「はじめっ!」
その試合が始めると、俺は衝撃を受けることとなった。
なんと、ハーゲンがまさかの苦戦を強いられていたのだ。
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キマイラとキメラが別物だと言うことはわかるのですが、語源的には同じところから来ているのでしょうか? それとも別々?
概念としてどちらが先に生まれたのかとか気になりますよね!!
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