第1098話 メガネが本体
魔王軍最強決定戦もいよいよ終盤に突入してきた。残すところは従魔のハーゲンとスカルボーン、そして助っ人の二人だな。せっかくだからここいらで助っ人を召喚するか。
「次の試合はカイト対
カイトは俺の初弟子にして吸血鬼のNPCだ。さっき話を聞いたらどうやら最近は吸血鬼を取りまとめる長になったらしい。まあ、そりゃ日光もニンニクも効かない吸血鬼がいたらリーダーになるだろって感じだが、リーダーはリーダーで大変そうだよな、うん。
どれだけ強くなっているかとても楽しみだ。
そして、その対戦相手の祢々切丸はメガネくんによると刀の妖怪らしい。なんとも、この刀は元々一人でに妖怪を退治した謎の妖刀として祀られていたらしい。それがこの世界に降り立ったことで一つの自我を持った妖怪へと至ったのだろう。
妖怪退治の末に自身が妖怪になってしまった祢々切丸と、吸血鬼なんて嫌いで祖母を殺そうとしてたくせに今では長になったカイト、さてこの戦いどちらが勝利するのか、非常に楽しみだな。
「はじめ!」
妖怪となったことで人の姿をしている妖刀・祢々切丸は刀を腰に携えカイトと対峙していた。
ん、ちょっと待て。本体は妖刀なんだから刀の方だろ? ってことは人間部分はどういう判定になっているんだ? メガネくんみたいに本体がメガネです、みたいな感じなのだろうか。
もしそうなら刀を壊せば倒れるのか? でも刀はそれ自身が武器だから壊すのは単純に難しそうだよな。あと、刀がフォルムチェンジできるのかとかも気になるし……
妖刀集めも楽しそうだよな、隔世には恐らくまだまだあるだろうし。
そんなことを考えていたら早速カイトが祢々切丸にバッサリと斬られていた。流石は妖刀が人の形を取っているだけあって、無駄の無い洗練された動きでカイトを一刀両断にしていた。
しかし、カイトもまた人ならざる者だった。
斬られたカイトからは、まるで羽毛布団を斬りつけたように中から小さな蝙蝠が無数に飛び出してきたのだ。そしてその蝙蝠たちは祢々切丸の少し離れたところで再集合し、再びカイトを構築した。
その様子は忍者が変わり身の術を使うかの如くだが、祢々切丸からすれば雲を切っているような感覚なんだろうな。
だが、問題は先ほどのゼインと海坊主の戦いのようにお互いが致命傷を与えられる技を持っているかどうかだ。カイトも吸血鬼である以上、敵が生物ならまだしも無機物の刀では血を吸うことはできない。本体の方から血を吸ったところで意味をなさないのだろうな。
そんなこんなで両者共に決定打を与えられぬまま、付かず離れず斬って斬られて——正確にはカイトが一方的に斬られてばかりだったが——を繰り返していると、突如終わりが訪れた。
正直、二人のチャンバラを見ているとこの戦いは長くなると思っていたからそれはとても予想外だったし、その手段にもとても驚いた。
まさか、アイツがあんな手を使うとは。
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