第1095話 雪対氷
絶対に勝ちたい時に大切なことは、一番強いカードを切ることではなく、一番勝てる組み合わせにすることだと思う。
こちらの最強手を切ったところで相手の最強手に合わせられたら負ける可能性はある。逆に最弱手でも相手よりほんの少しでも強ければ勝てる。
まあ、何が言いたいかというと、組み合わせが重要だってことだ。
「じゃあ次はアイス対雪女だ!」
アイス対雪女、これは雪女には非常に申し訳ないがほぼ百パーセントアイスが勝つと思う。なんせ、雪と氷なのだ。砂と礫くらいの差があるだろう。
それに、今までの話からしてアイスが弱くても良いって思うかもしれないが、アイスは単体で見ても普通に強いのだ。つまり、絶対に勝てる。
逆に言えばこの条件下で雪女が勝てば、雪女の株が一気に跳ね上がる。どちらにしても別に損はないのだ。
まあ、この対面においてはアイスに勝って欲しいけどな。
「はじめっ!」
最初に動いたのは雪女の方だった。自身の背後から吹雪を生成し、アイスに向けて攻撃した。それに対してアイスも同じように風を生み出し雪女に向けて放った。
似たようなものであるものの、いやだからこそ違いが明確に現れた。吹雪に対して、アイスの風は氷を含んだブリザード、勝てる道理が無かった。
その後も雪女の技に対して尽く同種の、それでいて氷という上位互換で打ち消していた。
これは思ったよりも一方的になったなー、そう思った時だった。
雪女がこの会場全体を包み込まんとする勢いで吹雪を展開した。アイスも同じように展開しようとするのだが、その時完全な下位互換と思われた雪にも氷を上回る部分が見つかった。そう、それは雪が高密度に空気中に舞うことによるホワイトアウトだ。
アイスを含め、俺たちは完全に雪女の所在を見失ってしまった。まさか、雪が氷よりも秀でている部分があるとはな。
確かにブリザードも現実ではホワイトアウトするのだろうが、ここは現実の世界ではなくゲームの世界。本来ならブリザードにも含まれるであろう雪が完全に排除され、氷の礫しか含まれていない。
それでも、キロ、いやメートル単位であれば視界不良になるだろうが、直線距離が短いこの会場でホワイトアウトするのは難しい。特にアイスの氷は不純物ゼロの綺麗な氷なのだから。
吹雪がアイスを包み込みどこから攻撃されるか分からない。さて、どうする?
因みに俺は雪女がどこにいるかは見えている。というか視えてる。もうアイスのすぐ後ろまできているところだ。
「れいじごーと!!」
雪女がアイスに攻撃したのと、俺にそのアイスの声が聞こえたのはほとんど同時だった。
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