第1081話 意外な弱点


『プーカの試練を開始します』


 その声と共に俺たちは神殿の中へと進んだ。因みに、今土蜘蛛たち妖は召喚していない状態だ。何かあった時に、気を配る人数が多いと対応できないから、俺とメガネくんだけでこの試練に挑むつもりだ。


 勿論、必要があればいつでも召喚する用意はできている。


 神殿の中は大きな広場となっており、入り口は一つしか存在せず、俺らが入った後は当然出られないようになっていた。


『第一の試練を開始します』


 その声が聞こえると、俺たちの前に大きな魔法陣が出現した。今まで見てきたものとは異なるが、それが何を意味するかは同じだろう、そう妖の召喚だ。一体どんな妖精が……


「へ?」


 そこに現れたのはなんと、とても小さいピクシーだった。


 西洋の物語には必ずと言っていいほど出てきそうな羽が生えた小さな妖精。鱗粉のようなものを撒き散らす、イメージ通りの妖精が俺らの前に現れたのだ。


 え、これを倒せばいいってことか? ってか、倒すって、こんなに小さくて可愛い存在に攻撃したらバチが当たらないか?


 メガネくんの方を見やると、彼もすっかり毒気を抜かれてしまっているようだった。


「なあ、流石にこの子を攻撃するのは心が痛むからメガネくん、従えてくれないか? 流石に殲爆魔法は撃てないぞこれ」


「そ、そうですね。流石に私もこの子に魔法を撃とうとは思えませんね。服従も可哀想ですし、頑張って懐柔したいと思います」


 メガネくんも俺と同じ気持ちだったようだ。幸い、メガネくんの妖力が大きかったのか、はたまたメガネくんの綺麗な心が通じたのか、難なく従えることに成功した。


 だが、油断は禁物だ。これはあくまで第一の試練、これで終わるはずがない。


『第一の試練が終了しました。第二の試練を開始します』


 そのアナウンスと共に再び俺たちの前に魔法陣が登場した。ここからが本番なのだろう。さて、どんな凶悪な妖精が登場する……


 そこには当然妖精が現れたのだが、またしても毒気を抜かれるような妖精が現れた。


「こ、これはグレムリン、ですかね?」


 メガネくんがそう言った。名前はグレムリンというようだ。先ほどのピクシーと比べると流石に可愛くはないのだが、ファンタジー世界のゴブリンなんかと比べるとどこか可愛げがある、そんな見た目なのだ。


 いや、妖精の世界ではゴブリン扱いされているのかも知れないが、悪戯が好きそうな笑みを浮かべているのが、とても可愛いのだ。思う存分悪戯をしてほしいと思ってしまう。


「なぁ、メガネくん。またお願いして悪いんだが……従えてくれないか?」


「はい。私も同じことを考えておりました」


 おいプーカ、これがお前の狙いなのか! 可愛い妖精を出しまくってこちらの戦意を喪失させ、その隙に俺たちをやってしまおうという訳だな。


 くっそ、だが冷静に考えてみてほしい。これは非常に有効な手段なのだ。現実世界でも可愛い悪戯をした五歳児と犯罪を犯した極悪人、どっちが殴りやすいか考えれば一目瞭然だ。


 まさか、俺にこんな弱点があるとは……早くもっと凶悪で恐ろしい妖精を出してくれ!









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午前中に執筆が終わる幸せ……神!!!

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