第1082話 試練の試練


 凶悪で倒し甲斐のある妖精を出して欲しい、俺のこの願いは第三、第四の試練と叶えられることは無かった。


 第三の試練では可愛らしいケットシーが、第四の試練では綺麗な歌声を持つセイレーンが登場した。どちらにも流石に暴力は振るえず、俺はメガネくんに懐柔を頼んだ。


 だが、試練が進むにつれて従える難易度も上がっているのか、少し苦戦しているようだった。俺は妖を暴力以外で従えたことがない——厳密にはそれすらもシステム的には従えていないのだが——からどうすれば確率が上がるのかは分からないが、メガネくんは上手くやっているようだ。


「因みに懐柔する時ってどうやってやるんだ?」


「えーっとですね、少し説明が難しいのですが、こっちに敵意が無いこととこっちに来たら楽しいよーってことを全力で伝える感じですかね? あとは一緒に遊びたいっていう思いを伝えるといい感じになる印象です! 全体的に従えるというよりは友達になる、のほうが近いですかね?」


 従えるというより、友達になるかー。メガネくんの愛嬌あってのことだろうな。俺なんて妖からしたら怖い存在でしか無いだろうし。


『第四の試練が終了しました。……思ったよりもやるみたいですね。ですが、次はどうでしょう? 第五の試練を開始します』


 先ほどまでとは少し変わったアナウンスが流れた後、魔法陣から現れたのは……


「サラマンダー……」


 メガネくんが少し警戒したような声でそう言った。そう、今度は先ほどまでとは打って変わって可愛くない、そして敵意が剥き出しの妖精が現れたのだ。


 それにしてもサラマンダーって妖精だったのな。お前、向こうの世界でもみたような気がするんだが気のせいか? 妖精かモンスターかってかなりアバウトなのかもしれない。


 今考えると、ゴブリンとかも広義の意味で言ったら一応妖精だろう? こっちの世界に居るのと向こうにいるのとでは何が違うんだろうな。


 だがまあ、敵意を持ってくれているのならこちらとしてもやり易い。というか、漸く来てくれたか、という感じだ。


「なあ、メガネくんサラマンダーって火が得意なのか?」


「はい。サラマンダーは四大精霊の一体で、火を扱うことにとても長けています」


 だよな。だって確か帰らずの塔のマグマの階にいた気がするし、何よりも体が赤いもんな。じゃあそんな得意な火、いや炎、いや爆弾でやられたらどんな気分なんだろうな。それこそ自分から支配下に着たくなるんじゃないか?


 一つ注意しないといけないのは殺さないようにすることだな。


「【殲爆魔法】」


 ッドーン!


 ……大丈夫だよな、死んでないよな? よし、上手く瀕死の状態まで持って行けたようだ。


「メガネくん、一応勿体無いから服従しとて」


「かしこまりました」


 さぁ、プーカ、もっと妖精を召喚してみろよ。敵意を持っている奴なら負ける気がしねーぞ??








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ぐへへ、この後ラーメン食べにいくんだぁー!

頑張ったご褒美……ってあ、七時なってた。今投稿します。

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