第1070話 最終天狐


「く、クソう! わ、分かった、妾が従ってやるからもう、もう止めるのじゃ!」


 俺がメガネくんを片手に天狐の尻尾をモフり続けているととうとう天狐が音を上げた。やはりメガネくんのキラキラの効果は絶大だったようだ。


「じゃあメガネくんと主従関係を結んでくれ」


「は? そ、其奴とか?」


「うん。ほらどーぞ」


 なんで土蜘蛛といい、大天狗といい、みんな揃って俺と契約するつもりなんだろうな? 誰も俺に従えなんて言ってないのにな。


 だが、天狐ももうどうにもならないことを悟ったのか、


「へ、陛下。け、契約完了致しました。お、オェ」


「おう、サンキューな」


 それにしてもメガネくんもかなり食らっている様だな。そんなに時間歩行はキツイのだろうか? 俺は自分で能動的にしか使ったことないから、他人に使われる感覚が分からないんだよなー。


 無事天狐の服従を終えると、何処からともなく声が聞こえてきた。


「貴様っ! 今まで一体何処におったのだ!」


 この声は土蜘蛛だな。ということは恐らく……


「お、天狐か。うむ、儂はこうなることが分かっておったぞ。天狐はからのう」


「う、うるさいわ! お前の方が先に服従しておったじゃろうが! 三妖と恐れられていた大天狗が名折れじゃろうて」


「ふむ、それは自虐と捉えても良いのかのう?」


「むぎー! おい人間! 此奴を破門しろ! 妾を従えるというのなら此奴はいらん!」


「ふむ、それは筋が通らんのう。儂の方を先に従えたのだから、儂を破門するくらいならこの女狐を滅してもらうのが道理じゃろう」


 おいおい、入って早々騒がしいな。夫婦漫才じゃないんだから。というか、大天狗の相手が天狐に代わったから、土蜘蛛がちょっと寂しそうじゃないか。


「あ、そうだ、天狐。お前はもう一体の三妖について何か知らないか?」


 俺がそう尋ねると、天狐、大天狗共に一瞬にして静かになった。そして、


「奴のことか……彼奴は、妾もよく分からんのじゃ」


 やはりダメかー。ちゃんと自力で見つけろってことなんだろうが、手掛かりが無さすぎる。どうやって探せばいいんだ?


「じゃが一つだけ分かっていることがあるぞ? それは奴が姿形を自由に変え、あらゆる場所に姿を見せる神出鬼没の存在だ、ということじゃ。今、彼奴がどんな姿で何処にいるのかなんて、誰も分からんじゃろうな」


 天狐は続けてそう言った。これは大きな手がかりになるかもしれないな。何も分からないよりかは、誰も何も知らないということが分かっただけでも大きな進歩だ。


 って、それって何も変わっていないのか? 結局は何処から探せばいいんだって話になるもんな。


 まあ、姿形が変わることが分かっただけでも良しとするか。


「そうじゃ。妾の僕に聞いてみるか? かなり広範囲に展開しておるから、何か情報を持ってるやもしれんぞ?」


 ま、マジですか? 天狐さん有能すぎやしませんか?? ちょっと天狗や蜘蛛と比較にならないんですが!?










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先週は色々あって落ち着いていなかったのですが、今週からまた気持ちを切り替えてできそうです!

今日は運営編も投稿しております!


また、まだ私の恋愛小説、「魔眼少年と盲目少女」を読んでいない方はこちらから是非ともお読みください!!

https://kakuyomu.jp/works/16817139555662856866

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