第1063話 傘がない時に雨が降る
俺も今から妖力貯めようかな? なんてことを考えていると、どこからともなく俺らの周りに人間と妖の反応が現れた。それと同時に、
「貴様!」
「お主!」
土蜘蛛と大天狗が俺に警鐘を鳴らした。二人とも素晴らしい反応速度だな。
そして、俺たちは囲まれていた。あれ、なんかこっちの世界にきて囲まれること多くないか? こっちの人たちは囲むのが好きなのか?
俺たちが周囲を警戒していると、一人の男が現れた。
「おぉ、やはり貴方でしたか。貴方が」
その男が発した第一声は想定外のものだった。
「貴方は頂上決定戦で優勝した後、パタリと音沙汰が無くなり、姿をくらませた。多くのプレイヤーが貴方にお近づきになろうとしたが結局は誰も辿り着けずに途方に暮れました。しかし、まさかそれほどの方がこの隔世にいようとは! 私は非常に運が良い」
男はツラツラ、ツラツラと喋り愉悦に浸っていた。コイツ、誰だ? 俺のこと知ってるみたいだけど、俺は一切知らないぞ?
「そんな現世最強の男もここでは唯の人、いやそれ以下だ。ここにはここだけのルールというものが存在する。そして、私はこの世界で最もこの世界に適応した。貴方には私の配下になってもらいましょう!」
ん、本当に何を言ってるんだコイツは。
「出てきなさい
あ、コイツ多分一つのことに夢中になると周りが見えなくなるタイプだな。なんかそんな気がする。話始めたら止まらないし、俺の周りにいる奴も見えてないし。
男の号令により現れた影は妖とプレイヤーの入り混じったものだった。それでも数はかなり多い、軽く五十くらいか?
「あ、そうだ。せっかくならここら辺でどっちが上か決めときたくないか、お前ら?」
俺は大天狗と土蜘蛛に向き直り、こう言った。
「一体でも多く倒した方が強い、ってことでヨーイ、ドン!」
二人とも賢いようで瞬時に状況を理解してくれた。土蜘蛛は刀で、大天狗は神通力で、バッタバッタと人間、妖を問わず薙ぎ倒していった。そして気づけば、最後の一人になっていた。
「ひっ、お、お助けください!」
コイツは人の話を聞こうとしなかった癖に、自分の願いだけは聞いてもらおうとするんだな。あ、じゃあせっかくだから俺が。
「「あっ!!」」
ザシュッ
そうして、突如訪れたハプニングとも言えない出来事が終幕した。因みに敵の数は丁度奇数だったようで、俺が手を出さなければ決着が着いていたのにと二人からごねられれしまった。
「まあまあ、またすぐ次の機会を用意してやるよ。そうだ大天狗、天狐の所に案内してくれ。そこでより頑張った方を上にしてやるよ」
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皆さんは土蜘蛛と大天狗どちら派ですか??
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