第1062話 サンクコスト


 尻尾が二桁超えてる天狐かー、どんな妖なんだろうな。それに大天狗は特に言及はしなかったが、三妖ってことは大天狗、天狐に加えもう一体の妖がいるはずだ。そいつらが二人に比べて猛烈に劣っている可能性は極めて低い。


 だが、逆に二人に比べて物凄く強い可能性は全然ある。


 それに、大天狗に関してはただ相性勝ちしただけだから、逆にそのもう一人に相性負けする可能性も全然あるのだ。ここを出る為にはどうせ避けては通れなさそうだから、もっと強くならないとだな。


「メガネくん、今からはより一層妖力を溜めていくぞ。これからは妖力がないと先に進めない場面もあるだろうからな」


「あっ、その件に関してなんですが、陛下」


 俺がこれからの方針——とは言っても何も変わっていない気はするが——を伝えた所、メガネくんからそう言われた。まるで、ずっとこのことに関して何か言いたいような口振りだ。


「ん、どうしたんだ?」


「はい、妖力についてなのです。これは土蜘蛛さんの時にも発生していたのですが別にいう必要はないと思っておりましたが、大天狗さんの時にも同じことが起き、更にはその桁があまりにも凄かったので報告しなければならないと思い……」


「回りくどいな。何が起きたっていうんだ?」


「は、はい。それが……土蜘蛛さんと大天狗さんを従えた時、物凄い妖力が私に付与されてしまったのです」


「え? ……え?」


 つまりー、そのどういうことだ? 土蜘蛛と大天狗という強大な妖を味方にしたことで妖ボーナスがもらえたのか? それとも現状の妖力に対して大き過ぎる敵を倒した認定されて、その差額を補填されたとか?


「土蜘蛛、大天狗、これはどういう状況なんだ? そんなことがあり得るのか?」


 俺が二人に向かって尋ねると、大天狗の方が先に答えてくれた。


「あり得るも何も、当然のことじゃろう。儂を従えるということはそれだけの力が必要ということでもあるし、それと同時にそれだけのことである、ということじゃ」


 ちょっと何言ってるか分かんないな。つまり、大天狗を従えるには大量に振り込まれた妖力が必要であり、実際、従えるってことは妖力が振り込まれるほどのことってことか?


 やばい、言い換えてもさっぱりだ。


「ジジイだから話が分かりにくいな。つまりは、我らを従えているということで逆説的に主人の格が上がったと捉えれば良いだろう。それだけのことを成したのだからな」


 あぁ、なるほど。強い妖を従えられるってことはそれだけ強いってことでもあるから、ボーナスを貰えてる、みたいな感じなのかな? まあ、よく分からんけどとりあえず貰えるもんは貰っておこう。返金を要求されても一切応じないからな。


「すみません、私は何もしていないのに妖力ばかり受け取ってしまって……」


「気にすんな気にすんな。元々メガネくんを強化するためでもあったし、妖に関しては任せると言っただろう? それよりどのくらい振り込まれて、今はどんくらいまで妖力が溜まったんだ?」


「ありがとうございます! えーっとただいまの妖力は、、、ちょうど一万を超えたあたりですね」


「は!?」


 ちょっと待て、俺が五十をゲットして喜んでいたのはなんだったんだ? ってか二人を従えていればそれだけもらえたってことか……俺も今から妖力貯めようかな?









━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

引くに引けない状況、ってありますよね。

ギャンブルとかでならないように皆様はお気をつけください…

(わ、私はギャンブルでそんな状況になったことはないですからね!?


皆さんもそんな状況になったことありましたら言える範囲で教えてくださいませ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る