第1061話 元妖會


「ふむ、ということはお主らは意図して天狗の集落に来た訳ではなかった、ということじゃな?」


「あぁ、そうだ。気づいたら幻術にかけられていて、そこから抜け出そうと頑張ってたら気づいたら天狗さんに遭遇したってことだ」


「ふむ……それなら何故戦う必要が、いやこれは別に言っても詮無き事だな。それよりもそんなことをする輩は一人しかおらんじゃろうな」


「ん、もしかして大天狗、心当たりがあるのか?」


「あぁ、というかそんな事をする、いやそんな事ができる妖は一人しかおらん。恐らく、天狐じゃろうな」


「天狐?」


「あぁ、我と同じ元妖會が一人、巧みな術で敵を翻弄し破滅に導く恐ろしい存在じゃ」


「げんようかい?」


「お主、まさかとは思うが元妖會も知らぬとは言うまいな?」


「え、知らねーけど」


 俺がそう言うと、はぁ、と溜息をつかれた。いやいや知らねーもんは知らねーだろ。それだったらこっちも一方的に知らないことを言って溜息ついてやろうか? 例えば……今の総理大臣の名前とか。


「元妖會というのはこの妖の隔世を統べる存在のことじゃ。因みに、我もそのうちの一人だ」


 ふむふむ、と俺がその言葉を咀嚼していると、横から土蜘蛛が槍を入れてきた。


「何が、我もその内の一人だ、だ。結局人間の下についてるじゃねーかよ」


「ほう、それは我に対する宣戦布告という意味で良いか? そもそも儂は三妖の一人じゃ。貴様ら妖に対しては百回戦っても負ける気はせんわい」


「ほう、試してみるか?」


「いいじゃろう」


「おい、いいじゃろうじゃねーよ。ってか土蜘蛛も煽るな。今は味方なんだから、余計な揉め事はするな。次、わちゃわちゃしたら……滅するからな?」


「「はい」」


 そこから二人は大人しくなった。聞き分けが良いのは大事な事だよな。でも、これで二回目だから本当に気を付けてほしい。二度あることは三度あるじゃなくて三度目の正直の方が個人的には好きだからな。


 それにしても天狐かー。そして話の流れからするとそいつも三妖の一人って事だろう? これまた面倒臭い奴に目をつけられたな。ん、ってかそんな奴に俺はいつ知られたんだ??


 ん、でも結局の所、相手は狐なんだろう? ならば敵の強さを測る丁度良い指標があったじゃないか。


「その天狐は狐だから尻尾が生えているだろう? 何本くらい生えてたか覚えているか?」


 俺が大天狗にそう尋ねると、


「ふむ。確か二桁は超えていたと思うのだが、なんせあまりにも多すぎて本人すらも数えるのを面倒くさがっておったからのう。正確な数は分からんな」


 え、九尾どころの話じゃないじゃん……なんだよ尻尾が二桁超えるって。俺たちを嵌めた幻術といい、尻尾の数といい、たまたま相性有利を取れた大天狗とは違って一筋縄ではいかないかもな。気を付けておかないと。












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今日は褒めてください。

私は圧倒的にどう足掻いても褒められたら伸びる人間なのです。

どうぞよろしくお願いします!


ってか、時間ってなんでこんなに経つのが早いんだ!?

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