第1058話 コロシアムで殺し合う


 突如として始まった戦いは思いの外歯応えのあるものだった。そして、その途中俺はあることに気がついてしまった。それは、天使にとてもよく似ていると言うことだ。


 順を追って説明しよう。まず、開戦の合図と共に一斉に大天狗を取り囲んでいた天狗が襲ってきた。もうこの時点で、大天使とその取り巻きの天使という構図に酷似していることが分かる。


 そして、その強さも絶妙にそれに近いのだ。別にやられる危険性は一切ないのだが、かと言って気を抜くとダメージを食らってしまうような、そんな感じだ。


 楽上庭園の時にいた従魔の代わりに、メガネくんと土蜘蛛がいるのもなんだかそれの妖バージョンって感じを醸し出している。


 ただ、全部が全部同じというわけでもなかった。天狗と天使の違い、それは属性にあった。基本的に天使は聖属性的なもののみを使用するのに対して、天狗は木属性を中心に火、風、水、とあらゆる属性を使いこなしてくる。


 これは恐らく天狗が自然的なものだから、自然的なものはなんでも使えるのだという予想だな。火に関しては……多分森林火災とかその辺だろうな、火山とかも自然っちゃ自然だしな。


 一旦、意識を戦闘へ戻そう。そもそも、何故俺がこんなアレコレ考えられているのかというとメガネくんと土蜘蛛が強いからだ。土蜘蛛はともかく、メガネくんに関してはここまで戦えるとは思っていなかったのだが、少しの実践経験と今まで集めた妖力で天狗を圧倒しちゃってる。


 今も尚その天狗から妖力を吸い上げちゃってるしな。


 そんなこんなで大天狗の取り巻きを全て倒し終わったっていうのが今の状況だ。さて、大天狗様はどうくるかな?


「ほう、儂の弟子達がこうも易々と倒されるとはな……もっと厳しい訓練が必要のようだな。だが、その前にそんな不届きものを処罰せねばなるまいて」


 カッ! っと音がするかのような勢いで眼を見開いた大天狗はゆったりと、しかし隙のない動作で立ち上がった。その体軀はかなり大きなもので、目を合わせようと思うと首がイカれてしまいそうになる程デカかった。


「へ、陛下……っ!」


 隣を見ると、メガネくんがとても苦しそうにしていた。まるで全身が金縛りに遭っているような、そんな感じだ。喋るのにも一苦労と言った感じだ。恐らく、天狗戦で疲れたんだろうな、ゆっくり休んで欲しい。


「ほう、儂の神通力に耐え得る者が二人もいるとはな。妖の方はまだしも、人間が儂の力に対抗するとは生意気だな」


 え、神通力? 何それ、ってメガネくんはそれでやられていたのか。マジか、全く気が付かなかったぞ? いや、煽りじゃなくて。


 土蜘蛛の方を見ると、何故か呆れたような目をされた。え、何か俺悪いことしたか?


「まあ、この儂に刃を向けるのならばそうでなくてはな。でなければ闘う気すら起きぬところだったぞ。久々の闘いだ、直ぐに壊れてくれるなよ?」


 そう言って大天狗は大ジャンプをした。


 いや、ちょっと待って、ただでさえ馬鹿でかいのにそれに加えてジャンプしたら首折れるって!









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やっと大天狗戦!

え、サブタイトル?なんのことですか?あれ、今日はちょっと肌寒いですね。長袖着なくちゃですね()

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