第1057話 天の狗


 拷問した結果以下のことが判明した。


 まず、天狗様天狗様と言っているクセに、自分自身も天狗なのは、どうやら天狗にも種類があるそうなのだ。そして、天狗様と言って崇め奉られているのは天狗の中でも大天狗と呼ばれる存在なのだとか。


 とても強くて俺なんか一撃で消し飛ぶくらい強いっていう話だ。それは是非とも手合わせ願いたいな。


 そして、もう一つこちらの方がより重要なのだが、俺らを幻術にかけたのは貴様らか、という質問だ。これに関してこの天狗たちは知らないと言った。最初はしらを切っているだけかと思ったのだが、入念なる拷問の結果、ひとまずは白だということにしておく。


 まあ、今から直接大天狗の所に向かえば真実は分かるだろう。


「おい、じゃあこれで終わりにしてやるから大天狗とやらの場所に連れていけ。道中、怪しい素振りを見せたら、分かっているな?」


「……はい」


 度重なる拷問の末、もはや俺に抵抗する気すら失せているようだ。まあ、確かに俺ですら受けたくないと思う拷問ばかりだったからな。妖ということもあって物理的ダメージよりも精神的苦痛に重きを置いた拷問を多めにしたから……これ以上は辞めておこう。


 因みにコイツらは天狗の中でも烏天狗というらしい。確かにそう言われてみればそんな気も……いや天狗成分の方が強くて烏味はあまり感じられないな。


 そうして天狗二人に案内され、俺たちは大きな集落へと到着した。


 集落とは言っても、ちんけなものではなく、かなり大規模な集落だ。ただ、村というよりかは集落、隠れ家、と言った表現が似合う、そんな印象だ。


 そしてその集落の中央には立派な建物が屹立していた。ってか、絶対にあそこにいるだろ大天狗。めちゃくちゃ高いし、普通にスカイツリーくらいあるんじゃないか?


 集落の中に入ると、俺たちは奇異な物を見る視線を浴びせられた。俺たちはまだしも、捕まえられている天狗二人はもっと嫌なのだろうな。もしかしたらもうそんなことでは嫌がれる余裕すら無かったのかもしれないが。


 スカイツリーのようなお城のようなお屋敷に入ると、そこは大きな広場になっていた。天井が物凄く高い体育館、いやコロシアムみたいな感じだ。


 その中央には遠くから見ても分かるほど大きな天狗、が座っていた。その周りには百人くらいの天狗。なんかもう天狗が多すぎてもはや俺たちの方が不自然な気さえしてきたな。


「来たか。儂の一族に刃を向けし者よ」


 天狗は座ったまま、俺らに向かってそう言った。その目は綺麗に閉じられており、まるで俺たちには目を開ける必要すらないと言っているような風体だった。


「我らの一族を手にかけた業、ここできっちり贖ってもらうぞ!」


 大天狗が目を閉じたままそう言うと、周りにいた天狗が一斉に目を見開き、俺たちの元へ迫ってきた。


 え、今のが開戦の合図? ってか、まだ目が合っていないんですけど!?










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明日のタイトル当てられた人、表彰します。

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