第1055話 膝の下
「【仙術】技生成、
この技は今まで歩いていた道のりを示すスキルだ。即席で作ったお粗末なスキルだが、今この状況においては役に立つはずだ。また変なスキルを作ってしまったが、今はそんなことを言っている場合じゃないな。
スキルを発動して今までの足跡を見てみると、
「なっ!?」
そこには綺麗に円形になった俺の足跡が浮かび上がった。その足跡はところどころ俺が今見ている景色には無い道の上にある。つまり、この足跡か景色が出鱈目ってことだ。それを検証するには、
「よし、無視していくぞ」
「え、陛下!?」
「ほう……面白いな」
見えている景色をガン無視して足跡が常に一直線になるように俺たちは歩き始めた。道が逸れるのなんて当たり前で、時には山に突っ込んだりしながらそれでも無心で一直線に歩き続けた。まさかこんなにもただ真っ直ぐ歩くのが難しいとは思わなかったな。
俺ってば幻覚無効とか持ってなかったか? 妖術はまた別カウントなのか?
そんな愚痴にも満たないようことを考えながら歩いていると、遂に足跡と道が綺麗に重なり始めた。山に激突することも川の上を歩くことも無くなった。つまり、ようやく妖術の影響下から逃れることができたのだ。
「土蜘蛛、もう大丈夫か?」
「あぁ。それにしても面白い術を使うのだな。そのような技、初めて見たぞ」
ん、土蜘蛛には俺の足跡が見えていたのか? まあ、そりゃそうだろうな。俺だって初めて使うのだから。ってか、どれだけ広範囲に渡って妖術を仕掛けていたんだ? 山越え谷越えって結構だぞ?
いや、もしかしてそれも妖術の内なのか? まあ、どちらにせよ俺らに術をかけた奴はかなりの強者ってことだ。気を引き締めていかないとな。
「おい、来るぞ」
突如、土蜘蛛が口を開いた。そしてその瞬間、俺たちの元に一陣の風が吹いた。そしてその風が吹き終わると、俺たちの前に二人の影が立っていた。
「て、天狗!?」
メガネくんがそう叫んだ。そう、その人らはいや、妖は人間のような姿をしていたが、その顔にはなんとも特徴的な鼻があった。
「貴様ら、天狗様の御膝元に何の用だ? ここは人間風情が来て良い場所ではない。返答次第によっては斬るぞ」
ガチで天狗じゃん。でも、天狗様? お前らは天狗じゃ無いのか? それに、ここには天狗がいるのか?
「なあ、メガネくんここが天狗の敷地って知ってたか?」
「い、いえ……というか全プレイヤーからしても天狗がいるであろうことは分かりますが、どこで会えるかすら判明していない状態だと思いますよ?」
「そ、そうか」
ってことは言葉を慎重に選ばないといけないな。
「……」
いや、待てよ。こいつらどんな答えを返しても斬りつけて来そうな顔してんな。よし、やられる前にこちらからいくか。
俺はテレパシーで二人に作戦を伝え、
「いやー実はですね、」
とメガネくんに意識を集めた後に、ガバッと二人を土蜘蛛と一緒に羽交締めにした。よし、色々聞かせてもらおうかな。俺たちにはあまりに情報が少なすぎる。
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六月に入りましたねー!!!(今更
六月にしたいことを教えてください!!!!!!
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