第1046話 服従と支配者


「やったー! 捕まえられました!」


 俺たちは今、土蜘蛛もとい都知久母を従えようとしていた。そして、つい先ほどようやくメガネくんが服従させることに成功した。


 というもの、この土蜘蛛が俺にやられたくせに強情でいくらコテンパンにしてもメガネくんに従おうとしないのだ。自分が負けたのは俺であってメガネくんじゃない、という理屈らしい。


 それでも俺たちは負けじと肉体的苦痛と精神的苦痛を与え続け、更には懐柔する為の説得も行うことでなんとか服従まで漕ぎ着けたのだ。メガネくんに従うことは間接的に俺に従うことだ、って言っても言うことを聞かなかった時は本当に手が出そうになったぜ。


 因みに肉体的苦痛の説明は省くが、精神的苦痛というのは二つあって一つは俺のスキル怪光砕心を使った物理的なもので、もう一つはお前が従うまで絶対に終わらない、という精神的なものに分類される。


「ふん、我がその四つ目に従ったからとて言うことを聞くのは貴様だけだからな!」


 おいおい、こっちの勢力になったらゴリゴリのツンデレになってるじゃねーか。って、


「四つ目?」


「英語でメガネをかけている人をフォーアイズと言って揶揄する言葉あったはずです。恐らく、そこからきているのではないでしょうか?」


 と俺が疑問に持つと直ぐに、土蜘蛛に聞こえないよう耳打ちしてくれた。メガネくんはなんでも知ってるんだな、本当に便利すぎて俺がどんどん馬鹿になってしまいそうだ。


「ただ四つ目っていいな。今度からメガネくんは四つ目かフォーアイズって呼ぶことにしよう」


「え、えー! ちょっとそれは……」


「冗談だよ。そしてお前に関してだが、俺の言うことは聞くんだよな?」


 俺が改めて土蜘蛛に向き直りそう尋ねた。今は人間の姿をしており、蜘蛛の姿はあくまで幻影ということらしいが面倒臭いし分かりやすいのでこれからも土蜘蛛で通させてもらう。


「別にそうとは言っておらん。我の気が向いたら……」


「あぁん??」


「はい、聞きます」


「それで良い。むしろできるなら最初からそうしとけよな。無駄手間なんだから」


 なんだかこの感じ懐かしいな。どこでやったっけか?


「それでお前はどうしてここにいるんだ? そしてこの場所はお前らからしたらどういう場所なんだ?」


「どうしてここにいるか、それは我が何者かに呼ばれたのだ。そこから我は人間が来るたび敵と認識して排除していた。まあ、それくらいしかやることがなかったのもある。ここがどういう場所かだが、それは住まいのようであり監獄のような場所、というのが正しいだうな」


 ふーん自分の居場所であると同時に抜け出せない牢屋でもあったのか。可哀想な話だな。それになぜ呼ばれたのかの説明もないのか。


「ってことはお前をここに呼んだ奴がいるってことか」


「あぁ、それは間違いないだろうな」


「ソイツに対してムカつかないのか?」


「今までは無意識に考えてこないようにしていたが、よくよく考えれば腹が立ってくるな」


「よし、じゃあ倒しに行くか」


「ふん、貴様に言われるまでもない」


「四つ目……」

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