第1031話 二人とメガネ
「メガネくん、気をつけろよ!」
「はいっ!」
俺は子供の運動会を見守る親のような気持ちでメガネくんに声援を送った。まあ、子供なんて持ったことも産んだこともないが。
ただ、先ほども言ったように、相手の言ったある言葉きになる。それは、ルール、だ。
相手がただのおバカでこの世界は弱肉強食なんだぞ、っていうことを言いたかっただけならただの杞憂なんだが、流石にそうではない気がする。だって、弱肉強食くらい馬鹿でも分かるだろ?
ま、そんなことを抜きにしてもこの世界にだけ特別に当てはまるルールがあってもなんら不思議ではないのだ。どれだけ警戒しても警戒しすぎと言うことはないだろう。
「はぁっ! 【無彩魔法】、ジ・イクリプス!」
ん、ちょっと待て。そのスキル俺が持ってるやっじゃないか? いつの間に覚えたんだ? ってか、そんな魔法が使えるなんて俺も知らなかったんだが?
メガネくんの魔法は黒と白の光を放ち、そしてそれらは男二人組を包み込み、消滅した。かに思われた。
「ふぅ〜、良い魔法撃ってくれるじゃねーか。だが俺たちには効かないんだよな〜」
「な、なにっ!?」
なんと、完全に消えたと思った二人がどこからともなく姿を現したのだ。
メガネくんが非常に驚いている。まるで物語の主人公みたいな反応だな。だが、俺の目からしてもメガネくんの魔法はとても強そうに見えた。それこそ目の前の男達なんて屁でもないように思えた。
メガネくんのINTが足りない、と言う可能性もあるがそれにしてもノーダメージというのはおかしいだろう。つまり、俺たちが知らないルールというのをアイツらは知っている、ということになる。
「ケッケッケ! 分かんねーよなー? そーだよなー? だからお前達はここで負けるんだよ! 【妖術:反転】!」
一人の男がそう叫ぶと、先ほどメガネくんが撃った魔法とそっくり同じものがメガネくんに向けて発射された。これは流石にヤバい。アイツらはなんらかの方法によってこの魔法を耐えることに成功したが、メガネくんにはそのルールが適用されていない。
白黒の光がメガネくんを包み込み、そして消滅、しなかった。
「へ?」
「は?」
「あれ?」
なんと、メガネくんも無傷にそこに立っていたのだ。それに対して三者三様の驚き方でその場にいた全員が驚いた。もちろん、俺もその内の一人なのだが、
「あ、もしかして」
攻贖他愛がまだ発動してたりするか? そういえば切った覚えもないし、心なしか一瞬HPバーが減ったような気もしなくもない。これは、また部下の命を一つ救ってしまったな。
まあ、それはそうとして、
「【石化の魔眼】」
今にも逃げ出しそうな雰囲気だった男達の首から下を、俺は石に変えた。どうやらこの攻撃は食らってくれるらしい。
さて、この世界のルールとやらを教えてもらいますか。
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