第1029話 相思相愛
俺はメガネくんからの連絡を受け、急いで魔王城へと急行すると、そこにはメガネくんと爺さんがいた。
「……」
なんか、まだ違和感が拭えないな。って、そんなことより、
「メガネくん、妖の住む世界ってどういうことだ? 早速だが詳しく教えてくれ」
「はい。それは先日プレイヤーによって発見されたのものでして、何でも妖怪や妖精といったあらゆる妖たちが住まう異世界が存在していたようです」
「妖怪、妖精……異世界?」
こりゃまたカオスだな。前々からこのゲームは、この世界はなんでもアリだとは思っていたが、異世界のようなこの世界で異世界を登場させてくるとは、流石運営、ネジがぶっ飛んでるな。
「はい。そこではそこでしか得られない特別な力やアイテムを入手できたり、その妖たちを従えたりすることが出来るようです」
ふむふむ、それは興味があるな。別に従魔に関しては困っていないが、力は気になる。それに、俺がそれらを手に入れようが入れまいが他のプレイヤーたちはそれで強化されていくはずだ。その強さに触れておくだけでも意味があるはずだ。
「よし分かった、じゃあ早速出発しよう。こういうのは早い方がいいからな」
「すみません陛下、非常に申し上げにくいことなのですが、この妖の世界、もう既にかなりのプレイヤーが進出してしまっているようなのです」
「ん?」
「私がこの情報を入手した時にはもう手遅れの状態でして……それでも行かれますか? 本当に申し訳ありません!」
そう言ってメガネくんは深々と頭を下げた。この子は何を言っているんだろうか?
「どうしたんだ? 別にプレイヤーがいても何も変わらないだろ。ってか俺もプレイヤーだし、変装用装備もきちんとあるんだから問題ないぞ?」
「へ?」
「それに、別に全てのコンテンツに一番乗りしたい、みたいな願望はないし、そもそもメガネくんも人間なんだから全ての情報を真っ先にキャッチするのなんて不可能だろう? 今のままでも十分仕事してくれているよ」
「陛下……」
メガネくんはそう言って感激していた。一体、俺のことをなんだと思っているのだろうか。心まで魔王だとは思っていないだろうな? 俺も一人の人間だぞ?
「それに、もう既にある程度開拓されているってことはその情報を元に俺らも攻略できるってことだ。そういう面から実は二番手以降の方が有利だったりするよな。そうだ、メガネくんも一緒に行くか?」
「はい?」
「ほら、もう既に情報が出回っているのならば隣にナビ役がいた方が楽だろうし、それに、まさか魔王が二人組でいるとは思わないだろう?」
「た、確かに」
「それに、メガネくんも少しは強くなったとは言え、毎日情報収集で忙しいからレベル上げも実践経験もあんまりできてないだろ? この際、俺がパワーレベリングしてやるよ」
「ま、マジですか!?」
「おう、大真面目だ。じゃあ、早速行くか妖の世界へ! ……って、どこから行くんだっけ?」
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