第1010話 魔物と人間


 俺は急いで魔王城へと向かった。


 メガネくんは魔王国の住民が騒ぎを起こしたと言っていたよな? 魔王国の住民に恐らくNPCはいなかっただろうから、十中八九プレイヤーだ。


 まあ、魔物プレイヤーと人間プレイヤーのいざこざなんていつの時代も起きるものだろうが、今回は一体どうなっているのだろうか?


「戻ったぞメガネくん」


「早っ! し、失礼しました。えーっとまずは状況を説明させていただきますね。魔王国の住民は陛下がスカウトされた神官様を中心に人間プレイヤーへの攻撃を行ってきました。ですが、どうやらそれの度が過ぎたようでして……」


「度が過ぎた?」


「はい。最初は正々堂々人間プレイヤーに立ち向かっていたのですが、徐々に国民が増えるにつれて大勢で数人を囲んだり、騙し討ちや奇襲などを多用するようになりました。そしてとうとう人間プレイヤーが限界を迎え、魔王城へと攻め込んできた、という流れです」


 なるほど、そう言うことかー。


「別に良くね?」


「へ?」


「いやだって、大勢で囲むとか騙し討ちとか奇襲とか全部人間も俺たち魔物にしてるだろ? 俺からしたら何を今更って話だ。そもそもこの世界は現実とは違って弱肉強食で自由な世界だ。俺たちが文句を言われる必要はないだろう」


 俺が持論を展開すると、メガネくんは呆気に取られていた。あれ、もしかして不味かっただろうか。リーダーが過激派すぎて困ってるのか? ここはなんとしてでもフォローせねば。


「め、メガネくんはどう思うんだ? この事態についてどうすべきだと思う? 君の意見を聞かせてくれ」


「私としては少々やり過ぎたとも思っていたのですが……陛下のご意見を聞いて確かにと納得させられました。私たち人間はどうしても人間を中心に物事を考えてしまいます。だから、自分達がしたことを魔物たちにされただけで怒ってしまうのでしょう」


「そうだな。まあ、これは魔物側の視点に立ってみないと分からないことだから難しいのかもな」


 ま、俺は魔物になったことないけど。


「それで陛下、いかが致しましょう」


「もちろん、全面戦争だ。こちらが間違っているとも思えないし、向こうも向こうで交渉しにきたわけではないのだろう? ならば全力で叩き潰すのみだ」


「はっ、かしこまりました。では、今から陛下も向かわれますか?」


「あ、いや俺は参加しないぞ? なんか俺が参加するとまた意味合い変わってきちゃいそうだし。子供の喧嘩みたいなもんだろ? 大人が介入したら醒めるだろ、うん。だから、適当に神官とかに頑張った奴らには褒美をやるって伝えておいてくれ」


「分かりました。では行ってまいります」


 そういうとメガネくんは出ていった。相変わらずメガネくんには世話になりっぱなしだな。でもこれでやっとステータスについてしっかり確認することができるな。


 ……とりあえず、SPの使い道を教えて欲しいんだが?

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