第1008話 桜花爛漫
ペンギンで悪魔を惨殺した俺は更に城の上部へと進んでいった。運之指弾を使わなかったら、全く苦戦することなく上に上がることができたのだ。
ラキバレは本当に使い所を考えないとだよな……
ぼーっとしながら歩いていると、俺は大きな扉の前までやってきていた。流石にまだボスではないのだろうが、確実に中ボスクラスの敵はやってくるだろう。
ラキバレで強化された悪魔とどっちが強いんだろうな。頼むからこっちのボスの方が強くあって欲しい。
俺はそんな奇妙なことを考えながら扉を開けた。だって、こっちの方が強かったら別にちょっと強い敵と戦ったんだな、で終わらせられるだろ? もしこっちのが弱かったら俺は一体なんの為にあいつと戦ったんだって話だ。
扉の奥は大きな広場になっていた。そして俺はそれを見た瞬間、少し嫌な予感がした。そしてそれはすぐさま現実のものとなった。
ダン、ダン、ダン、ダン、ダン!
なんと、天井から五体もの悪魔が降ってきたのだ。一体一体は先ほどの強化されていない悪魔よりもちょっと強いくらいだろうか? だが敵が五体ともなるとその難易度は跳ね上がる。……普通なら、な。
この大きな広場を見た瞬間に思ったんだよなー、もし一対多だったらどうしよう、って。一般的なプレイヤーがどう思っているかは知らないが、個人的に一対多はもはや得意分野なんだよな。
「ヒーッヒッヒ! まさかこんなところに人間がやってくるとはなぁ! 飛んで火にいる虫とはまさにこのことだなっ!」
五体の内、一体の悪魔がいかにも悪魔的な声でそう言った。
「ヒャッハー! 久しぶりの馳走だぜ! お前ら誰が食うかは早い者勝ちな!」
無知というのは案外幸せなものかもしれないな。無知で自信過剰だったらこんなに大胆な性格になれるのだから。でも、その分寿命は短そうだよな。
「【
俺はスキルを発動した、すると花が咲いた。
その花はとても綺麗で、見る者を魅了し、死に至らしめた。
「え?」
バタバタバタと飛び掛かってきた悪魔を含め、皆が倒れたから何事かと思い俺の後ろに咲いていた花を振り返ってみようとしたら、もうそこに花はなかった。
……あれ、このスキルもぶっ壊れですか? なんだよ咲いただけで敵を殺しちゃう花って。恐ろしすぎだろ。食虫植物でももっと可愛げあるぞ? 多分。
それにしてもまさか一瞬だななんてなー。これは本格的に一対多を俺の得意分野に入れてもいいかもしれないな。魔王として大勢のプレイヤーを一気に相手することなんて普通にありそうだし。
それにしてもどんな花だったか気になるなー。でも見たら死んじゃうのかもしれないと考えるとおいそれとみれないよな。もし花を見て死んだ場合、死因は何になるか気になるな。
帰ったらやろっと。
そんなくだらないことを考えていると、俺はあっという間にボス部屋らしき場所に到着してしまった。道中の敵は本当に全然大したことがなかった。あれ、前はもっと苦戦してたイメージなのに……
これはいよいよ残りの悪魔城の攻略も視野に入れないとだなー。
「って、もうボス!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます