第1007話 悪魔の末路
俺は今、両手で運之指弾を撃ちまくっていた。今の俺を側から見たらただの厨二病で痛い奴、なんだろうがなりふり構ってられない。なぜならさっきから俺のラキバレが全く効いていないからだ。
敵の移動速度も圧倒的に速くなり、俺も避けるので精一杯だ。コイツはこの城の中ボスなのだろうか。流石に親王クラスまでは行かないが、今まで戦ってきた悪魔の中でもかなり強い方だ。
くそ、このままじゃ本当に埒が明かない。奥の手を使う他ないようだ。
「【麻痺の魔眼】、からの【死之宣告】!」
俺は魔力を全力で消費して敵の動きを止め、その隙に死を告げた。先ほどまで苦戦していた相手がサァーっと灰が飛んでいくかのように消え去ってしまった。……え、強すぎじゃない? このゲームもうずっとこれを使えばいいんじゃないか?
と思ったが、ステータス欄を見ると死之宣告は灰色になって現在使えない状態になっていた。流石にクールタイムが設けられているようだ。じゃないと流石にぶっ壊れすぎるもんな。
ふう、だが何はともあれ厄介な中ボスを倒せたので良かったとしよう。ボスに死之宣告は使えなくなったが別の手段を使えばいいだけのこと、一先ず安心だな。
次は何のスキルを使おうか、そんなことを考えている時だった。俺の視界に一つの影が映った。
「え?」
その影を見てみると、そこには先ほどまで戦っていた悪魔と全く同じ悪魔だった。
おいおいマジかよ、中ボスがまだいるのか? 俺は安心ムードを切り替え一気に戦闘態勢に入った。今は死之宣告が使えないため、ちゃんと倒さなければならない。どうしたもんか……
俺が距離をとって敵の様子を観察していると、遂に相手が動き出した。
「あれ、遅くね?」
先ほどまでの悪魔と違い、その悪魔はあまりにものそのそとこちらに向かっていた。さっきの悪魔ならこの距離は一瞬で詰めていたぞ? ……どう言うことだ?
あ、もしかしてラキバレのせいか? あのスキル絶対にどこかの部位に当たって、しかもその弾はどんな弾かランダムだったよな? もし、その弾が敵を強化するバフだったら?
しかもその時最初は三発撃ってたよな? そしてその後から弾が効かなくなった。つまり強化に加えて弾丸無効とか付与されていたら?
そしてこの世界はゲームだからと必ず運は収束されるように設計されているとしたら?
……よし、とりあえずアイツをボコそう。なんだか色々ムカついてきた。自分の運の無さと、己の軽率さに。すまん、これはただの八つ当たりだ。許して欲しい。
「【
俺がスキルを発動すると、地中から、空から(因みにここは屋内)、どこからともなく刃を口に咥えたペンギン達が大量に現れた。そして、それぞれが敵に向かって一太刀だけ与えて消えていった。
だが、消える先からどんどんと補充されていき、何なら消えるよりも多くのペンギンが到来し、
ジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキン!
その悪魔はなんか物凄く可哀想な終わりを迎えた。ペンギンに殺される悪魔ってどうなの?
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