第990話 空中都市と楽上庭園


 あっという間に天使たちのいる空中都市に到着した俺たちは一先ず身を隠すことにした。初っ端からカチコミ入れてもいいのだろうが、一旦様子見だ。なんせ、今回用があるのは天使じゃなくて神だからな。


『それで神様はどこにいるんだ?』


 当たりを警戒しながら堕天使ズに尋ねると、


『神様、ですか……私たちは外回り担当の下級天使でしたのでお会いしたことはないですね。そもそもここは空中都市で基本的に下級天使しか住んでおりません。神様をお探しならば楽上庭園にいくべきではないでしょうか?』


 という返答が返ってきた。天使と言っても皆が皆神に直接仕えているわけではないんだな。にしても楽上庭園かー言われてみるとそういえばそんなのあった気がするな。そうかまずはそこにいかなければならないんだな。


『楽上庭園の行き方は分かるか?』


『はい、ただ私たちはもう堕ちた身ですのでフリーパス、というわけにはいかないでしょう』


 おいおいNPCがフリーパスとか言っていいのか? いやまあ単語の知識としては存在してもおかしくないのか。何故か知らないが違和感があるのは俺だけか?


 因みに喋り方の問題は一文交代で回していくことで落ち着いたようだ。空中都市に着くまでの空路で三人が話し合ってた。別に普通に喋れば良くね、って思ってるのは俺だけか? 三位一体だから仕方ないのか?


『何はともあれ楽上庭園に行かないと話にならないな。よしじゃあ空中都市は全スルーしていくぞ』

「「「はい!」」」


 そう言って俺たちは楽上庭園へと向かった。いや、向かおうとした。


『ん、ちょっと待てお前ら今念話使ったか?』


『……』

『……』

『……』


 急に黙る堕天使たちに対して、姿は隠している筈の俺たちの周りにワラワラと集まってくる下級天使たちがその答えを雄弁に物語っていた。


 おいおい今回は別に天使とやりにきたわけじゃないんだけどな。


『おい、お前らお前たちがやらかしたんだから自分でケツを拭けよな。俺は最低限しか手出ししないからな』


『『『はい』』』


 今度はしっかりと念話で返事をした三人の姿を俺は見えるようにした。ってか、別に今更念話にしても意味ないんだけどな。


 完全に姿を見せた堕天使たちに対してこちらも完全に臨戦態勢の天使たち、今にも戦いの幕が切って落とされそうだ。そんな緊迫した空気の中、最初に動いたのは堕天使だった。


『スカル様とボーン様に教わった!』

『秘伝の技!』


『【三位一体】!』


 三人がそう叫ぶと全員が白い光に包まれ、そこに一人の女性が現れた。その女性は堕天使と蛸の要素を併せ持っており、なんとも言えない妖艶さを孕んでいた。


 え、ちょっとそれは想定外すぎるんですが……ってかお前ら女だったの!?

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