第988話 罪より神
「それでこれから何か対策は講じますか? 七大罪スキル持ちが現れたってことはこれからも続々と出てくるかもしれませんし、七大美徳の持ち主も現れるかもしれません。もしかしたら陛下のようにもう既に持っている人もいるかもしれません」
「そうだなー。でも、もう既にゲットしてる奴に関してはもうどうしようもないだろ? スキルを奪えるわけでもないし。他のスキルに関してももしゲットできたらラッキーくらいの感じでいいんじゃないか? そんなことより今は神になることの方が優先だな」
「神……! 確かにそうですね! 神になって仕舞えば七大スキルなんて必要ないですもんね!」
「どうだろうな。でも情報収集だけは引き続き行なってくれ。スキルに関しても持ち主のプレイヤーに関しても、だ」
「もちろんでございます。では私はこれで失礼させていただきますね」
「あぁ。教会の件に関してはまたどこかでお礼するが本当にありがとう」
「はい! ですがお気になさらずに。配下としての当然の責務を全うしただけですので!」
そう言ってメガネくんは退席した。本当によくできる配下を手にしたものだ。俺は本当に運が良いな。
そう言えばもう一人の配下はどんな調子だろうか。俺が神になるには欠かせない人物ではあるが、どんな人間なのか、まだ分かっていない部分が多すぎるからな……
「よし様子を見に行くか」
❇︎
あの神官がどこにいるのか、俺はすぐに分かった。それは、なんと魔王国の中で大きな群衆を作っていたからだ。俺もスキルを使って紛れてみよう。
『強くなりたいかー!』
『『ウォーーーーーーーー!!』』
俺が聞いた第一声がこれだった。ちょっと待ってなんか思ってたのと違う。
『生きるには力が必要だ! お前らは弱いままでいいのかー!!!』
『『ブゥーーーーーー』』
『ならば立ち上がれ! 人間共から力を奪うのだ! 力は我ら魔王の元にあり!!』
『『ウォーーーーーーーー!!』』
「……」
俺は言葉を失わざるを得なかった。一体こいつらは何をしているのだろうか。この物騒な団体はどうやら今から人を襲うようだ。ちゃんとプレイヤーを襲えよ? NPCを殺したらもう元には戻らないのだから。そんな心配をしていると遠くの方から
『お前ら! ちゃんとプレイヤーだけを狙えよ! NPCは力なき存在だ! 狙う必要すらないのだ!』
そこはちゃんとしっかり配慮がされていた。でもその言い草だと力あるNPCは殺されてしまうような……
ま、最悪俺が蘇らせればいいか。うん、と言うわけで今の出来事は見なかったことにしよう。あれはもう俺の手から離れてしまったものだ。
『神への挑戦(1)をクリアしました。神への挑戦(2)が開始されます』
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