第987話 優劣と序列


「七大罪スキル!? 嫉妬!? ……それってヤバイのか?」


「そ、そうですね。そのプレイヤーと陛下が戦った所で負けることはないでしょうが、間違いなくプレイヤー全体としての戦力は上がったと思われますね。それにこれを機に他の七つの大罪スキルが見つかってしまうかもしれません」


「ほー、そのプレイヤーのことについての情報は何か出たのか?」


「いえ、その嫉妬を獲得したと思われるプレイヤーが自分で声明を出しただけですのでまだ詳しいことは分かりません」


「そうか、ならまだガセの可能性もあるのか」


「はい。しかし、今までのガセとは異なりしっかりと実名を出して公表していることからある程度の信憑性はあるかと」


「ふむ、それは要注意だな。報告ありがとう」


「はい。……え? それだけですか?」


「ん、それだけって?」


「あ、いえ、ほら七大罪っていろんな作品にも登場する、いわゆるぶっ壊れじゃないですか。もしそれをプレイヤーに先んじられたとなればかなりの痛手ではありませんか?」


「そうか? 七大罪っていってもそこまでぶっ壊れって程でも無かったぞ? まあせっかくならコンプリートしたかった、ってのはあるが、まあ俺自身もまたプレイヤーだし、仕方ないだろう」


「え!? 陛下もお持ちになられているのですか!?」


「え、持ってるけど」


「えーーーーー!!!??? マジですか、先に言って下さいよー!! ち、因みにどの罪をお持ちに?」


「そんなに驚くことなのか? 俺が持ってるのは憤怒だぞ」


「えー! 憤怒って強スキルじゃないですか!」


 そんなに驚くことなのだろうか。別に俺じゃなくても取れそうな感じだった気はするけどな。

 

「ん、七大罪に序列なんてあるのか?」


 それよりこっちの方が気になる。強スキルってことは弱スキルもあるってことだよな? 七大罪は四天王、みたいな感じで同列なものだと思ってたんだが。


「ありますよー! あっ、正確にはある作品もあるって感じでこの作品がどうかは分かりません。ただ、ほら『奴は四天王の中でも最弱』みたいなセリフあるじゃないですか、そんな感じで、どれも強いですが一律に同じ強さということでは無いと思いますよ?」


 なるほど、確かにそんなセリフ聞いたことある気がするな。そもそも四天王の段階から認識を間違えていたようだ。


「ならば七大罪のなかで強いのはなんなんだ?」


「これもあくまで個人的なものになりますが、傲慢、暴食、憤怒はやはり強いのでは無いですか? 私のリサーチではそれらが多いように感じます。あ、強欲も捨て難いですよねー」


 ですよねー、と言われたところで残念ながら共感はできない。ただ、言わんとすることは分かったぞ。確かに、それらは色欲、怠惰、嫉妬に比べたら多少強く感じるかもしれない。


 でも、そんか変わらない気もするけどな。


「でも、まあ結局どれも強いんですけどね!」


「おい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る