第973話 得られたもの
「はぁー、死んだかと思ったですわ」
一体何ですのあの男は。容赦無く殺してくると思った割には逃すなんて、そんなに自分が加害者だってことをバラしたくなかったんですの?
まあ、確かに頂上決定戦の優勝者が加害者だなんて笑えませんものね、折角の名誉に泥がつくのは何としても避けたかったんでしょうね。
『眷属よ、今回ばかりは助かったぞ、あの石板をやられていたら、我の存在は消滅していた』
「ふん、まあ眷属として海神様の命を守るのは当然ですわ。言ったでしょう、私なら大丈夫ですって」
『そうだったな。だが、どうしてあれほどの者を撃退することができたのだ? しかも口先だけで。何か弱みでも握っていたのか?』
「えぇ、そうよ。彼は以前私に危害を加えたことがありますの。だからそれを公表されたくなければ帰ってと言ったらむざむざと帰りなさったの。これからは大きな武器として使えるんですわ」
『ふむ、人間というものは不思議だな。まさかたったそれだけのことで自らの歩む道を変えてしまうとは。まあ、いいそれよりも……
「褒美、褒美ですの?」
『いや、どうやら他の侵入者が現れたようだ。しかもかなりの数、まずはそちらから処理するのだ』
「えーなんでですの!」
そんなこんなで私の初の海底神殿防衛線は、無事終了したんですわ。
❇︎❇︎❇︎
「へーそういうことだったのか」
まさか、アイツが俺の被害者だったとはな。ようやく色々と記憶が蘇ってきた。確かに俺はアイツを一度殺したことがある。それのことを言っていたんだな。良かったぜあの場で殺さなくて。
俺は、海底神殿を後にする時、こっそり自分の分身を設置しておいたのだ。最大限に気配を薄くしスキルも全力で使用させていたからか気付かれず、しっかりと情報を持ち帰ることに成功したのだ。あの場で殺していたら情報は得られなかったからな。
だが、成果は予想以上だった。
まず、あの女性プレイヤーが海神様の眷属であったということ、そしてあの石板はその本体だったこと、そして俺の正体はまだバレていないということだ。
恐らくその海神様と会話していたんだろうが、残念ながら海神様の声は聞こえなかった。しかし、ほとんどの内容は分かったから問題はない。
これで全ての謎が解けたな。俺が感じていた違和感も眷属が神殿を守ろうとしての行為だったらまだ納得がいく。それでもちょっとおかしいと感じる部分はあったが。
俺が魔王ということは最重要機密事項だからな。
とは言ってもやられたことには変わらないな。結局この海底神殿に行って得られたものはほんの少しの情報だけだ。負けたことには変わりない。
じゃあ、リベンジしないとだよな?
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ふっふっふ()
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ちょうどもうすぐ第一章が終わるので、皆さんにぜひ読んでいただきたいのです!
そしてあわよくば感想を……死にたがりの30分の1の文量なので気軽にフラットお願いします!m(_ _)m
えー酷評でも批評でも悪評でも、最悪ただの評でも何でも待ってます!!
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