第968話 水中電気
時は少し遡って前々話の続きから、イチゴ視点です。
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「【雷魔法】、サンダーボルト、ですわ!」
あれ? なんで食らわないんですの? 水に電気は相性が良いはずですわ、それなのに何故、ですわ?
あっ、ちょっと誰ですの? 誰かが近づいてきていますわ! 一先ず退散、ですわ!
「……」
何でこんなところにプレイヤーがいるんですの? しかも侵入者からは攻撃されておりませんし、、、これはどういうことなんでしょう?
私が見えていないのは当然だとしても、光ったのに反応してこちらに来たと言うことは味方ではないはずですわ。むっ、こうなれば相手を倒すまでやるしかないですわね。
「【雷魔法】、サンダーボルテックス、ですわ!」
……な、何でですの!? ただ単に光ってるだけじゃないですの! 水と電気が相性が良いって言うのは嘘だったんですの?
こうなったら最大火力をぶっ放すしかありませんわね。後悔しても遅いですわよ?
「くらいなさい、【雷魔法】、サンダーボルテクスチェイン!」
これは雷を連鎖させて発動することで対象が焼け焦げるまで電気を放ち続ける、恐ろしい魔法ですわ。これにかかればあのモンスターだって……
「え?」
眩い光に目を奪われた後、私は現実を疑いましたわ。だって、さっきまで水中にいたはずでしたのに、そこには水が一滴も残っていませんでしたの!
『お、おい貴様、一体何をした! 何をすればそこにある水が全てなくなるのだ! と、とにかく水中でなければ透明化できぬぞ! 急いで階下に戻ってくるのだ!」
な、何ですって!? それはまずいですわ! 今、あの化け物に見つかったら生きて帰れる気がしなくってよ?
私は急いで来た道を引き返してスクリーンのある部屋に戻って来ましたわ。って、今思いましたけど海底神殿にスクリーンって雰囲気ぶち壊しですわね。
『貴様、一体何をした!』
私は戻ってくるなり早々海神様に叱られましたわ。叱るならせめてお顔をお見せになってはいかがかしら。
「何をって別に雷魔法を使っただけですわよ?」
そう、私は何も悪いことはしておりませんのよ。むしろ急に水がなくなったのは海神様の責任ではなくって?
『何!? 雷魔法だと? おい、貴様水に電気を流すとどうなるのか幼き頃に習っていないのか?』
「はい? そんなこと習うはず……」
私はその瞬間、中学生の頃、理科室で行った実験を思い出しましたわ。水を入れて電気を流す、電気分解の実験を、
「も、もしかして私の雷魔法で水が全部、分解してしまった、んですの?」
『当たり前だ! これだから人間は……まあ良いとにかくこれは後でだ、今はあの侵入者を止めねばならない。あの人間はもはや常軌を逸しているぞ?』
「に、人間、ですの??」
侵入者はモンスターじゃなくって? そう思い私は改めてスクリーンを見るとそこにはとても見覚えのあるプレイヤーが映っておりましたわ。
「ああーーー!!! コイツ! ……ですわっ!!」
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