第966話 魚を操りし者

いちご視点です。

——————————————————


「ちょっとこの怪物は一体なんなのよ!」


 私は今、スクリーンを目の前に大きな怪物相手にしていますわ。


 海神様が私を神殿に飛した後、階段を上った先には大きなスクリーンがありましたわ。そこでは海神様の配下であるお魚さん達を自由に動かすことができましたの。


 そして、当然スクリーンには侵入者である巨大な九つ首の龍が映っておりましたわ。これほどまでに恐ろしいモンスターだとは思っていませんでしたが、これを倒せばお姉さまのもとに向かえるのですから、小魚達を自由に動かし、上手く相手の攻撃を躱しながら攻撃を仕掛けました。


 でも途中までは良い感じでしたけど、途中から相手がブレスを吐いてきましたの……それでうちの部隊が全滅しましたわ。


『眷属よ、どうするのだ。やられてしまったではないか』

『う、うるさいですわ! もうこうなったら私が直接出向いて倒しますわ!』


『ほう、直接行くというのか。奴に勝てる見込みはあるのか?』

『もちろんですわ! あんなケダモノにこの私が負けるはずありませんわ!』


 正直少し不安でしたけど、私は自分を奮い立たせるように言いましたわ。モンスターに負けるわけにはいきませんもの。


『よかろう、ならば我からも少し手助けをしてやろうじゃないか』


『手助け、ですの?』


『あぁ、そうだ。そうだな、この神殿内におる間透明化できる、というのはどうじゃ? 相手の死角から攻撃するもよし、小魚を操作して攻撃するもよし、だ。どうだ、これならば倒せるのではないか?』


『と、透明化ですって?』


 そ、そんな強大な力を手にしてもいいんですの? こうなってはもう私の勝ちは約束されたようなものですわ。ふふっ、これが海神様の力ですのね。眷属になった甲斐がありましたわ。


『感謝しますわ、海神様。では、行って参ります』




『ふんっ、精々頑張るのだな』


 ツンデレですわね海神様、透明化の力までいただいて負けるはずがありませんわ。


 私は階段を上って侵入者の化け物所へと向かいましたわ。今は巨大な魚、しかも大量の魚達と戦っているはずですわ。そこに私が合流すればまず間違いなく倒せるはずです、急ぎますわ。


 ❇︎


 い、いましたわモンスター! って、あれ魚達は? 巨大なお魚さん達がいっぱいたんじゃないですの?


 こうなったらもう私が頑張るしかありませんわね。まずは小魚達を出現させて……


「【海神魔術】、コーラルウェーブ!」


 って、水中なのに水の魔法を使っては意味がないですわね。じゃあ、


「【雷魔法】、サンダーボルト、ですわ!」


 水と雷は相性抜群、これで決まらないはずがない、です……わ?


 な、なんで余裕で耐えてるんですの!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る