第952話 メガネの功績
「……それで、カメレオンのモンスターはどこにいるんだ?」
まあ、結局こうなってはしまうよな。だって俺には情報は無くてメガネくんには情報があるのだから、そりゃ聞くでしょ、むしろ聞かないと分からないだろ、って話になる。
褒美をやるって言うのに仕事しろっていう上司もどうかと思うが、これはこれ、それはそれ、だ。
「カメレオンのモンスター、ですか。どうやら王都の向こう、第六の街と呼ばれる所にあるみたいです」
「第六の街!?」
なんだその街聞いた事ないぞ? ってか、なんとなく王都が最終終着点と思っていたのだが、違ったのか。でもまあ確かに王都が国の端にあるのはおかしいもんな。王都が中心と言うことは当然、王都の向こう側にも街は広がっているってことだ。
「はい。ですが、そこに行くためには少々面倒な
「よし、今からいくぞ」
「はい!?」
「善は急げだ。早速向かうぞ、何か準備するものはあるか? ないならチャチャっと行くぞ」
「お、お言葉ですが陛下、第六の街に向かうには長いダンジョンとその先に待ち受けるボスを倒さねければなりません。陛下お一人ならまだしも、私を庇って移動するのは流石に厳しいかと……」
「ん、何言ってるんだ? もしかして歩いていくつもりなのか? 交通手段は空だぞ、空」
そう言って俺はハーゲンを呼び出した。ほら、と言う顔を見せるとメガネくんの口がぱかーっと開いていた。
あれ、メガネくんは俺に従魔がいるって知らなかったのか? いや知ってるはずだよな? 色んなところで見せてるだろうし、俺魔王だし。ならなんでこんなに驚いているんだ?
まあ、いいか。さっさとカメレオン狩りに出かけよう。
「あ、」
そういえば隠蔽工作はどうしよう。俺一人だったら隠遁を使って俺の姿だけを隠せば、ハーゲンに乗っててもただ空に鳥が飛んでいるだけになるのだが、メガネくんはそうもいかない。カメレオンの力があれば擬態とかもできるのだろうが……
よし、今回は俺が力を貸してやるとするか。
確か俺のスキルに纏衣無縫と言うスキルがあったはずだ。これは姿を隠すのではなく、周りに溶け込ませなんの違和感も感じさせなくするスキルだ。
これの広範囲版を新たに仙術で作るようなイメージで……
「【仙術】、技生成!」
『特殊条件を満たしました。スキル【仙術】に技強化が追加されます』
ーーースキル【纏衣無縫・改】を獲得しました。
【纏衣無縫・改】‥周囲の情報を使って世界に紛れる。気配を消すのではなく、気配を変えているので意識されづらくなる。対象を複数指定可能。
ん、んん??
ちょ、ちょっと待ってくれ。一度に情報が押し寄せすぎだ。まずなんだ技強化って、仙人の派生効果みたいなことで良いのか?
そしてその条件を満たしたことで纏衣無縫を強化できて、纏衣無縫・改になったと言うことか。これは思わぬ収穫を得たかもしれない。自分で好きな時に好きなタイミングでスキルを強化できるなんて強すぎるだろ。
メガネくんを強化しようとして俺が強化されるとは……これもメガネくんの力なのか?
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