第949話 魔眼の所有者


「【麻痺の魔眼】」


 貴重な情報提供者を始末した後、俺はその情報の真偽を確かめる為に魔眼を使ってみた。


 対象は特に指定していなかったのだが、上手く作動してくれたようで、ゴゴゴという音共に地下へと続く階段が現れた。


 うん、そこまで疑っていた訳ではないのだが、ちゃんとアイツは本当のことを言ってくれていたようだ。今度会ったら感謝しないとだな。


 そして、俺はただ今ニヤケが止まらなかった。


 何故なら、今この瞬間も多くのプレイヤーが血眼になって石化の魔眼を探しているというのに、俺は一足先にそのお宝へと歩みを進めているのだから。


 皆は当たりのないクジを引かされ続けて、本当にお気の毒だ。


 それにしても魔眼をゲットする為に魔眼が必要って条件としてどうなんだろうか?


 この時点で魔眼を持っていない人がいたらどうするんだろうか。逆に俺のように既に持っている人がいるからこの情報が解禁されたのか?


 もしそうなら、俺以外にも魔眼を持っている人がいる可能性が非常に高くなる。であるなら、何としてでもこの石化の魔眼を、手に入れねばならないし、その者から魔眼を強奪する方法を考えないといけないな。


 ゴツん


 おっと。考え事をしながら歩いていると目の前に石の扉があることに気がつかなかった。


 恐らくこの中に石化の魔眼の持ち主がいるんだろうな。一体どんなモンスターなのだろうか?


〈Lv.200 メデューサ〉


「……」


 扉を開けるとそこにはメデューサがいた。うん、なんとなくそんな気はしてた。だって石化とか特殊な状態異常を使えるモンスターってそんなにいないんだもん。ぶっちゃけメデューサかあっても大蛇とかかと思ったのだか、大本命できやかったな。


 髪は緑色の蛇で、肌は灰色、そしてその目は真っ赤に光っている。恐らくあの眼を見たら俺は石に変えられてしまうのだろう。


 まあ、誰が来た所で俺の行動は変わらないのだがな。


「ほう、久しぶりに魔眼の持っている奴が来たと思えば矮小なる人間風情だったか。貴様がどのようにしてその眼を手に入れたかは知らないが、とにかく、ここで終わりだ。呪うなら自分の不運を呪うことだな」


 なんか、態度の大きいメデューサだな。まあ、殺してくれるならこちらとしてもありがたい限りだ。


 俺はメデューサと眼を合わせ、そして、


「キシャァアアアア!!」


 メデューサの頭の蛇に体を粉々にされた。体を粉々にされるのってこんな感覚なんだな。まるで木の枝が折れるように腕が折れ、紙に鉛筆を突き刺すように体に穴が空く。なんだか変な感じだ。


 もしかしたら全身氷漬けにされた後に殴られてもこんな感じになるのだろうか?


 ❇︎


「ちわーっす」


「貴様は先の……また懲りずにやってきたというわけか。何度来ても結果は変わらぬぞ!」


 結果は終わってみるまでわからないだろ? それに、終わらせるのは俺だ。



ーーースキル【石化無効】を獲得しました。



 よし、じゃあ終わらせようか。

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